クイン・バックナー

ウィリアム・クイン・バックナーは、1954年生まれのアメリカ合衆国の元プロバスケットボール選手、指導者です。190cmの身長を生かしたポイントガードとして活躍し、1976年のモントリオールオリンピックでは金メダルを獲得しました。

大学時代とオリンピック

イリノイ州で生まれ育ったバックナーは、高校時代からバスケットボール選手として非凡な才能を発揮しました。州選手権で2連覇を達成し、オールアメリカンにも選出されるなど、輝かしい実績を残しています。また、フットボールでもその才能を発揮し、州のオールチームに選ばれています。インディアナ大学に進学後、4年次の1976年にはNCAAトーナメントを制覇。同年にはモントリオールオリンピックのアメリカ代表に選ばれ、金メダルを獲得しました。大学4年間では、平均10.0得点4.5アシストを記録しています。

NBAでの活躍

1976年、バックナーはNBAドラフトでミルウォーキー・バックスから全体7位指名を受け入団。NFLのワシントン・レッドスキンズからも指名を受けていましたが、バスケットボール選手としての道を選びました。1年目から平均8.6得点、2.43スティール（リーグ4位）を記録し、堅実なディフェンダーとして評価を確立しました。2年目の1977-78シーズンには、リーグ3位となる平均2.29スティールを記録し、オールディフェンシブ2ndチームに初選出されています。

1980年代前半、マーカス・ジョンソンやシドニー・モンクリーフらを擁したバックスはイースト屈指の強豪チームでした。バックナーは、その中でも有能なディフェンダーとしてチームを支え、1979-80シーズンから3年連続でオールディフェンシブ2ndチームに選出されました。特に1980-81シーズンは自己最高の平均13.3得点を記録し、バックスのシーズン60勝に大きく貢献しました。しかし、プレーオフでは3年連続でカンファレンス準決勝敗退という結果に終わっています。

1982年、バックナーはボストン・セルティックスにトレードされ、デニス・ジョンソンらのバックアップとしてプレーしました。1983-84シーズン、セルティックスは62勝をあげ、ファイナルでロサンゼルス・レイカーズを破り、見事リーグ制覇を果たしました。バックナーはファイナル全7試合に出場し、平均2.0得点を記録。翌年もファイナルに進出しましたが、レイカーズに敗れています。

1985-86シーズン、インディアナ・ペイサーズにトレードされたバックナーは、32試合に出場した後解雇され、現役を引退しました。NBAでの通算成績は、719試合に出場、5,929得点、3,114アシスト、1,337スティール（平均8.2得点、4.3アシスト、1.86スティール）でした。バックスで記録した通算1,042スティールは、球団史上1位の記録となっています。また、NCAA、NBA、オリンピックの全てで優勝を経験した選手は、バックナーを含めて8人しかいません。

引退後

引退後の1993年、バックナーはダラス・マーベリックスのヘッドコーチに就任しました。しかし、厳格かつ独断的な指導がオーナーや選手との対立を生み、チームは球団史上ワースト2位となる13勝69敗という成績に終わりました。バックナーはシーズン終了後に解任され、その後はテレビの解説者などを務めています。

バックナーは、選手として輝かしい実績を残しただけでなく、そのリーダーシップと情熱で多くの人々に影響を与えました。彼の功績は、バスケットボール史に永遠に刻まれることでしょう。

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