クエンカ (エクアドル)

クエンカの魅力と歴史

クエンカ（Cuenca）はエクアドル中南部に位置する美しい都市で、アスアイ県の県都です。この街は約2,500mの標高にあり、壮大なアンデス山脈の谷間に広がっています。正式名称は「サンタ・アナ・デ・ロス・クアトロ・リオス・デ・クエンカ」です。クエンカの街並みは、丸石で舗装された道路や塔を持つ教会、大理石や漆喰で作られた建物によって、植民地時代の独特の雰囲気を醸し出しています。特に、街の歴史的な建築物が良好に保存されているため、1999年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。2000年の時点での人口は41万7632人とも報告されています。

歴史的背景

この地域には、かつてカニャーリ人による都市「グアポンデレグ」が、約500年前に建立されました。しかし、スペイン人の到達の50年前に、カニャーリ人はインカ帝国によって征服されてしまいます。後に、インカの皇帝トゥパック・インカ・ユパンキがクスコに匹敵するような都市の建設を命じましたが、スペイン人による征服時にはすでに廃墟となっていました。

1557年に、スペインの探検家ヒル・ラミレス・ダバロスによってクエンカは再建設され、クエンカ出身のペルー副王アンドレス・ウルタド・デ・メンドサがその指導の下に、地域の農業と行政の中心地とすることを目的として都市が計画されました。この都市は、スペインのカルロス1世の示す基準に従って設計され、建設初期の街並みが今も保存されています。19世紀には産業の発展が見られ、特にキニーネや麦わら帽子の生産が盛んになりましたが、孤立した環境が近代化を阻む要因となり、1950年代には変化が迫られました。1982年には街の保護・復元に向けた計画が作成され、都市の魅力が再評価されました。

2013年には生活費や税金が安いためアメリカから多くの高齢者がこの街に移住し、彼らはゆったりとしたリタイア生活を楽しんでいます。

経済と産業

クエンカの主な産業となるのは、パナマ帽の製造です。1860年に法律が制定され、パナマ帽の生産が推奨されたことは、地域経済に非常に大きな影響を与えました。この帽子は、特に国際的な市場でも人気があり、クエンカはその中心地として知られるようになりました。

世界遺産としての価値

クエンカはその独特な歴史的背景と建築様式から、1999年に「サンタ・アナ・デ・ロス・リオス・デ・クエンカ歴史地区」としてユネスコの世界遺産に登録されました。評価されたのは、建設当時の都市計画が400年間の時を経て保持されていることです。この世界遺産は、以下の条件を満たして登録されています：

• - 文化圏や特定の時期における建築や都市計画の進展を示すもの
• - 人類の歴史において重要な建築様式の優れた例
• - 伝統的な集落や文化を代表する際立った例

姉妹都市

クエンカは、国際的な交流を促進するためにいくつかの姉妹都市を持っています。特に、チリのコンセプシオン、スペインのクエンカ、ペルーのクスコ、キューバのハバナなどと提携しています。

クエンカは、歴史的な魅力に富んだ都市であり、訪れる者にとっては貴重な文化体験を提供しています。

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