クサソテツ

クサソテツ（コゴミ）とは

クサソテツ（Matteuccia struthiopteris）は、コウヤワラビ科（またはイワデンダ科）に属する多年生のシダ植物です。別名ガンソクとも呼ばれ、早春の山菜として知られるコゴミは、このクサソテツの若芽のことです。日本各地をはじめ、中央・北ヨーロッパ、北米北東部に自生し、観葉植物としても庭に植えられます。

名称の由来

標準和名はクサソテツ（草蘇鉄）で、草本でありながらソテツのような姿をしていることに由来します。異名のガンソク（雁足）は、株の様子が雁の足に似ているためと言われています。

コゴミという名前は、若芽が小さくかがんでいるように見える様子から、「こごむ」という言葉が変化したものです。ただし、地域によっては別の食用シダを指すこともあります。

その他、アオコゴミ、イチヤコゴミ、グサ、コゴメなど、様々な地方名で呼ばれています。

分布と生育環境

クサソテツは、東アジア、ヨーロッパ、北アメリカ北東部を原産地とし、日本では北海道から九州北部にかけて分布しています。低山から深山の、木漏れ日が差し込む湿った場所や草原、渓流沿いなどに群生することが多く、まれに平地の樹林内にも見られます。

形態と生態

クサソテツは落葉性の多年生シダ植物で、地下茎を伸ばして生育範囲を広げます。太く短い根茎から多数の葉が束生し、春には渦を巻いた若芽（コゴミ）を地上に出します。

葉には栄養葉と胞子葉の区別があり、栄養葉は鮮やかな緑色で柔らかく、食用とされます。完全に開いた栄養葉は50〜100cmに達し、深く切れ込んだ羽状複葉です。夏には、栄養葉よりも短い茶色の胞子葉が株の中心から現れ、胞子を放出します。

コゴミ（食用）

コゴミは、クサソテツの若芽を指す山菜名です。ワラビ、タラノメなどと同様に、古くから日本人に親しまれてきました。食用にするのは春に出る栄養葉の若芽で、渦巻状に丸まった部分が柔らかく、食べごろです。

サクサクとした食感と、かすかなぬめりが特徴で、多くの人に好まれています。シダ類を食用とする民族は多くなく、日本以外では中国や東南アジアの一部地域で見られます。

食用としての利用

コゴミは、雪深い東北地方などでよく採取される山菜です。採取時期は地域によって異なり、低い土地や暖かい地域では4〜5月頃、高地や寒い地域では6月頃が目安です。

採取する際は、来年のために小さな芽を残し、丁寧に一本ずつ摘み取ることが大切です。採取したものは自家用として消費されるほか、市場にも出回ります。

調理方法も 다양하며、茹でておひたしや和え物、煮物、天ぷらなど、様々な料理に利用できます。アクが少ないため、下処理も簡単です。塩漬けや乾燥保存も可能です。

栄養面では、植物性タンパク質、カロテン、食物繊維、ビタミンCなどを豊富に含んでいます。

栽培方法

クサソテツは、自生しているものを採取するだけでなく、農家による栽培も行われています。栽培方法には、露地栽培とハウス促成栽培があります。

露地栽培は、畑に根株を植える方法と、自生地で養生する方法があります。ハウス促成栽培は、加温または無加温で、より早い時期に出荷を目指す方法です。

繁殖は、主に地下茎による株分けで行います。半日陰で湿り気のある場所を好み、水はけの良い土地が適しています。

植栽

クサソテツは、葉の色や形が美しく、涼しげな印象を与えるため、日本庭園の下草などにも利用されます。

まとめ

クサソテツは、山菜としてだけでなく、観賞用としても楽しめる植物です。その生態や利用法を知ることで、より深く親しむことができるでしょう。

もう一度検索