クサタチバナ

クサタチバナ（草橘）

クサタチバナ（学名：Vincetoxicum acuminatum）は、キョウチクトウ科（旧分類ではガガイモ科）カモメヅル属に分類される多年草です。日本を含む東アジアに分布し、山野の草地や林縁に自生しています。

特徴

草丈は30cmから60cm程度で、茎は直立し、あまり枝分かれしません。葉は対生し、長さ5～16mmの葉柄を持ちます。葉身は卵形から長楕円形で、長さ5～13cm、幅3～6cm程度。葉の縁は滑らかで、先端は尖り、基部は丸みを帯びています。葉の両面の葉脈には、微細な毛が生えています。

花期は6月から7月にかけてで、茎の上部の葉腋から花柄が伸び、その先に多数の花がまとまって咲きます。花冠は白色で、直径約2cm、5つに深く裂けています。副花冠は淡黄色を帯びます。萼も5つに裂けています。

花が終わると、長さ4～6cmの袋果と呼ばれる果実をつけます。これは、旧ガガイモ科特有の形態です。秋になると、袋果が割れ、種髪（毛束）をつけた種子がはじけて散布されます。

分布と生育環境

日本では、本州の関東地方以西、四国に分布しており、山地の草地ややや乾燥した林内に自生します。国外では、朝鮮半島や中国東北部にも分布しています。

保全状況

環境省のレッドリストでは、準絶滅危惧（NT）に指定されており、生息数の減少が懸念されています。

近縁種

クサタチバナの近縁種としては、以下のものがあります。

イヨカズラ（伊予葛） Vincetoxicum japonicum
コバノカモメヅル（小葉の鴎蔓） Vincetoxicum sublanceolatum
シロバナカモメヅル（白花鴎蔓） Vincetoxicum sublanceolatum var. macranthum
スズサイコ（鈴柴胡） Vincetoxicum pycnostelma
タチガシワ（立柏） Vincetoxicum magnificum
フナバラソウ（舟腹草） Vincetoxicum atratum
ロクオンソウ（鹿苑草） Vincetoxicum amplexicaule

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』（1981年、平凡社）
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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