キョウチクトウ科

キョウチクトウ科（Apocynaceae）

キョウチクトウ科は、双子葉植物に属する科で、熱帯から亜[[熱帯]]を中心に広く分布しています。この科の植物は、高木、低木、草本、つる植物など、非常に多様な形態を示します。特に熱帯雨林には高木が多く見られますが、乾燥地に適応した多肉植物も存在し、温帯には主に多年草が分布しています。

特徴

キョウチクトウ科の植物の多くは、乳液を含んでおり、アルカロイドや強心配糖体などの有毒成分を含むため、毒性を持つ種が多いです。しかし、一部の種は薬用として利用されています。葉は単葉で、対生またはらせん状に配列します。花は両性で放射相称であり、大きく目立つものが多く、総状または集散花序を形成します。花弁は筒状に合生し、先端が5つに分かれますが、縁が重なり合って回旋状になることが多いです。雄しべは花筒の内側につき、子房は上位です。果実は、袋果や液果など、種によって異なります。

袋果を形成する種では、種子に毛や翼があり、風によって散布されることが多いですが、ニチニチソウのように単純な形態のものもあります。液果を形成する種では、動物によって種子散布が行われ、中には霊長類によって散布されるものもあります。

利用

キョウチクトウ科の植物は、観賞用、薬用、繊維利用など、多岐にわたって利用されています。

園芸用: キョウチクトウ、ニチニチソウ、ツルニチニチソウ、カリッサ、アラマンダ、プルメリア、マンデビラ、テイカカズラなどは、美しい花を持つため、園芸植物として広く栽培されています。中には香りの良い品種もあります。
果樹: カリッサは果実が食用として利用されています。
薬用: インドジャボクは、降圧剤であるレセルピンなどのアルカロイドを含んでいます。また、キョウチクトウ属、バシクルモン属、ミフクラギ属などには、強心配糖体を含む種があり、ストロファンツス属のG-ストロファンチン（ウアバイン）は医薬品としても用いられます。ニチニチソウは、抗がん剤であるビンクリスチン、ビンブラスチンの原料となります。
繊維利用: バシクルモン属は、アメリカや中国で繊維として利用されていました。ラフマ（羅布麻）は、中国の一部で羅布麻茶として飲まれています。
その他: 一部の種は、かつてゴム原料として利用されたり、毒性のある種は矢毒として利用されたりしました。

分類

キョウチクトウ科は、5つの亜科に分類されます。

インドジャボク亜科 (Rauvolfioideae)
キョウチクトウ亜科 (Apocynoideae)
Secamonoideae亜科
ガガイモ亜科 (Asclepiadoideae)
Periplocoideae亜科

このうち、インドジャボク亜科とキョウチクトウ亜科は側系統であり、残りの3亜科は単系統です。かつてはガガイモ科として扱われていたグループ（ガガイモ亜科とPeriplocoideae亜科）も、キョウチクトウ科に含まれるようになりました。

これらの亜科は、さらに連や亜連に細分化されます。以下に主な連と亜連、代表的な属を挙げます。

インドジャボク亜科 (Rauvolfioideae)

Aspidospermeae連: Aspidosperma, Geissospermum, Microplumeria, Vallesia
Alstonieae連: Alstonia
Vinceae連: Catharanthus（ニチニチソウ属）, Laxoplumeria, Rauvolfia（インドジャボク属）, Vinca（ツルニチニチソウ属）
Willughbeieae連: Couma, Hancornia, Lacmellea, Pacouria, Parahancornia
Tabernaemontanae連: Tabernaemontana（サンユウカ属）, Ambelania, Macoubea, Molongum, Mucoa, Neocouma, Rhigospira, Spongiosperma
Melodineae連: Melodinus, Amsonia（チョウジソウ属）
Hunterieae連: Hunteria
Alyxieae連: Alyxia, Condylocarpon
Plumerieae連: Allamanda（アリアケカズラ属）, Cerbera（ミフクラギ属）, Ochrosia（ヤロード属）, Plumeria（インドソケイ属）, Thevetia（キバナキョウチクトウ属）, Skytanthus
Carisseae連: Carissa（カリッサ属）

キョウチクトウ亜科 (Apocynoideae)

Wrightieae連: Wrightia
Nerieae連: Adenium（アデニウム属）, Nerium（キョウチクトウ属）, Strophanthus（ストロファントゥス属）
Malouetieae連: Galactophora, Malouetia, Pachypodium（パキポディウム属）
Apocyneae連: Anodendron（サカキカズラ属）, Apocynum（バシクルモン属）, Trachelospermum（テイカカズラ属）, Urceola（ゴムカズラ属）, Rhabdadenia
Mesechiteae連: Forsteronia, Mandevilla（チリソケイ属）, Mesechites
Odontadenieae連: Odontadenia, Secondatia, Stipecoma
Echiteae連: Bahiella, Hylaea, Macropharynx, Prestonia, Rhodocalyx, Peltastes, Temnadenia, Parsonsia（ホウライカガミ属）
Baisseeae連: Baissea

Secamonoideae亜科

Secamone

ガガイモ亜科 (Asclepiadoideae)

Fockeeae連: Fockea
Ceropegieae連: Ceropegia（セロペギア属）
Marsdenieae連: Dischidia（マメヅタカズラ属）, Dregea, Gymnema（ギムネマ属）, Hoya（サクララン属）, Marsdenia（キジョラン属）, Stephanotis（シキタソウ属）
Asclepiadeae連： Metaplexis（ガガイモ属）, Astephanus, Asclepias（トウワタ属）, Calotropis（カロトロピス属）, Gomphocarpus（フウセントウワタ属）, Vincetoxicum（カモメヅル属）, Tylophora（オオカモメヅル属）, Cynanchum（イケマ属）, Glossonema, Metalepis, Pentacyphus, Diplolepis, Orthosia, Stenomeria, Tassadia, Araujia（チョウトリカズラ属）, Funastrum, Oxypetalum（ルリトウワタ属）, Philibertia, Tweedia（ツイーディア属）, Widgrenia, Macroscepis, Pseudibatia, Fischeria, Gonolobus, Gyrostelma, Matelea, Schubertia, Barjonia, Blepharodon, Ditassa, Hemipogon, Hypolobus, Macroditassa, Metastelma, Minaria, Nautonia, Nephradenia, Peplonia, Petalostelma

Periplocoideae亜科

Mondia, Periploca, Raphionacme（ラフィオナクメ属）

系統関係

キョウチクトウ科の系統は複雑で、過去にはガガイモ科として分類されていたグループも含まれます。インドジャボク亜科とキョウチクトウ亜科は側系統であり、これらの亜科を除いたものが単系統を形成します。

この科は、多様な種を含み、その分類は常に更新されています。研究が進むにつれて、新しい知見が明らかになり、分類体系も変化していく可能性があります。

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