クネルスドルフの戦い

クネルスドルフの戦い：フリードリヒ大王最大の敗北

1759年8月12日、七年戦争において、プロイセン王国は歴史上最大の敗北の一つを経験しました。フランクフルト・アン・デア・オーダーの東、クネルスドルフで勃発したこの戦闘は、フリードリヒ大王率いるプロイセン軍と、オーストリアとロシアの連合軍との間で繰り広げられました。

戦いの背景

この戦闘に至るまで、プロイセン軍はいくつかの敗北を経験していました。特に、カイの戦いでカール・ハインリヒ・フォン・ヴェーデル少将率いるプロイセン軍が敗北したことは、プロイセンの中核地帯であるベルリン＝ブランデンブルクへの脅威を招きました。オーストリア軍は、ロシア軍と合流して、ベルリン＝ブランデンブルクを攻撃しようとしていました。

フリードリヒ大王は、ヴェーデルの敗残兵を合流させ、約4万9000名の軍勢を率いて、オーデル川の右岸に陣取る約7万1000名の露墺連合軍（ロシア軍4万1000名、オーストリア軍3万名）に対し、決戦を挑みました。連合軍はエルンスト・ギデオン・フォン・ラウドン少将とピョートル・セミョーノヴィチ・サルティコフ元帥という二人の名将に率いられていました。

戦いの経過

戦闘は、プロイセン軍によるロシア軍陣地への攻撃から始まりました。当初、プロイセン軍は成功を収め、フリードリヒ大王が弟のハインリヒ王子の助言に従って攻撃を停止していれば、勝利の可能性もあったと言われています。しかし、フリードリヒ大王は斜行戦術を適用しようと迂回行動を試みますが、これは失敗に終わります。

プロイセン軍の攻撃は連合軍の堅固な防御に阻まれ、当初の勢いを失い始めました。この間に、遠方にいたオーストリア軍騎兵も到着し、戦況はさらに複雑化していきました。正午過ぎには、戦闘は最高潮に達し、ザイトリッツ率いるプロイセン騎兵によるロシア軍中央砲兵陣地への大規模な突撃が行われましたが、失敗に終わりました。この失敗により、プロイセン軍左翼は連合軍の騎兵部隊（オーストリア騎兵が中心で、ロシアの重騎兵、カルムイク騎兵、クロアチア騎兵も参加）の攻撃を受け、壊滅的な被害を受けました。

フリードリヒ大王は、戦場からの撤退を余儀なくされ、周囲にはわずか3000名ほどの兵士しか残っていませんでした。

戦いの余波

この壊滅的な敗北に、フリードリヒ大王は深い絶望に陥りました。彼は一時的に軍の指揮権をフィンク中将に委ね、弟のハインリヒ王子を総司令官に任命しました。しかし、敗戦後数日後、散り散りになっていたプロイセン軍の残存兵力が集結し、フリードリヒ大王は指揮権を奪回し、残存兵力3万3000名でフュルステンヴァルデに防衛線を構築しました。

一方、連合軍は勝利したにもかかわらず、ベルリンへの進軍をすぐに開始せず、グーベン協定を締結しました。この協定によって、ロシアは東プロイセンを獲得し、オーストリアはシュレージェンを回復するという領土的合意がなされ、ベルリン攻撃よりもシュレージェン攻略が優先されました。その後、連合軍はザクセン方面へと進軍しました。

クネルスドルフの戦いは、七年戦争におけるプロイセン軍にとって最大の敗北となりましたが、連合軍の思わぬ行動によって、戦争の最終的な結果には大きな影響を与えませんでした。

その他

フリードリヒ大王はこの戦いの中で2回も乗馬を射殺され、敵弾が煙草入れに当たって跳ね返ったという逸話も残されています。彼は、敵に包囲されながらも、最後まで抵抗を続けたと伝えられています。また、ゲオルク・ルートヴィヒ・フォン・プットカーマー騎兵大将や詩人のエーヴァルト・クリスティアン・フォン・クライスト少佐などもこの戦いで戦死しました。この戦いは、フリードリヒ大王の決断力、そしてプロイセン軍の戦力、そして戦争の不確実性を示す象徴的な出来事として、歴史に刻まれています。

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