エルンスト・ギデオン・フォン・ラウドン

エルンスト・ギデオン・フォン・ラウドンの生涯と功績

エルンスト・ギデオン・フォン・ラウドン（1717年2月2日 - 1790年7月14日）は、オーストリアに仕えたバルト・ドイツ人の貴族であり、軍人として輝かしい業績を残しました。彼は最終的に元帥に昇進し、その才能を認められて男爵の位を得ています。ラウドンは七年戦争において特に活躍し、甥であるヨハン・ルートヴィヒ・アレクシス・フォン・ラウドンもまた、フランス革命戦争の時期に重要な役割を果たしました。

幼少期と初期の経歴

ラウドンは現在のラトビアに誕生し、ラウドン家はスコットランドを起源とする家系です。15世紀にバルト地方に移り住んだ彼の家族は、代々軍人を輩出してきました。父は一時スウェーデン軍に所属していましたが、バルト地方の支配がロシア帝国に移ると、ラウドンもロシア軍に加わります。ポーランド継承戦争や露土戦争に参加したものの、将来的な展望が見えないと感じたラウドンは、ロシアを離れ他国で軍人としての道を歩むことを決断しました。

最初の仕官先として考えたのはプロイセン王国でしたが、フリードリヒ大王との面会の際、彼の容貌が大王の好みに合わなかったために断られてしまいます。戻る先もない状態の彼は、ウィーンに向かいオーストリア軍に入隊したのです。最初はフランツ・フォン・デア・トレンク率いる非正規部隊、通称トレンク・パンドゥールに配属されました。この部隊は、オーストリア継承戦争で多くの戦果を上げる一方で、略奪や残酷な行為で知られ、ラウドンは次第にその環境に嫌気がさし異動を希望するようになりました。

七年戦争での台頭

無名の存在だったラウドンが名を知られるようになったのは、七年戦争によるものでした。この戦争が勃発すると、彼はすぐに頭角を現し、短期の間に昇進を果たしました。ラウドンはドームシュタットルの戦いにおいてプロイセン軍の補給部隊を襲撃し、敵をシュレージェンへと退かせることに成功しました。また、ホッホキルヒの戦いでは、慎重な指揮を展開していたレオポルト・フォン・ダウンに対して果敢に攻撃を主張し、オーストリア軍に勝利をもたらしました。

ラウドンはその攻撃的な戦術と大胆な行動で大衆に人気を博し、ドイツやオーストリアの民間では「ラウドンが来る、ラウドンが攻撃する」といった歌が流行するほどでした。しかし、彼の独断専行はしばしば上司との対立を招き、特にダウンとの関係は緊迫したものでした。クーネルスドルフの戦いではロシア軍と共に勝利を収め、ランデスフートの戦いでも大勝利を得る一方で、リークニッツの戦いではフリードリヒ大王率いるプロイセン軍に敗北することもありました。

戦後の活躍と評価

七年戦争の終結後、ラウドンは一度は領地を購入し軍を退いていましたが、その後すぐに軍に復帰しました。彼はオーストリアを代表する軍人として、大王がヨーゼフ2世に外交訪問した際には同席し、「元帥殿、あなたには私の正面よりも、私の隣に座っていただきたい」と言われたエピソードも知られています。

バイエルン継承戦争や墺土戦争でも指揮官を務めるなど、彼の軍歴は続きました。特に墺土戦争では、オーストリア軍の司令官としてベオグラードを占領するなど、その名をさらに高めました。

ラウドンに捧げられた作品

オーストリアの作曲家フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは、彼にちなんで『交響曲第69番』を作曲し、この交響曲は「ラウドン将軍」という愛称で親しまれています。また、ウィーンのペンツィングにはラウドンが購入したラウドン宮殿が現存しており、彼を顕彰する碑も建立されています。彼の功績は、ただの戦士にとどまらず、歴史や文化にも影響を与え続けています。

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