クフ王の船

クフ王の船

クフ王の船（くふおうのふね）は、古代エジプトの偉大な王であるクフの時代に造られた2隻の船で、一般的には「太陽の船」として知られています。この名称は、古代エジプトの太陽神であるラーに関連しており、神聖視された船体が持つ意味合いを示しています。1960年代の発掘により、1954年と1987年にギザの大ピラミッド近くでそれぞれ発見されました。

発見の歴史

特に第一次発見となった船は1954年に見つかり、全長42.32メートル、全幅5.66メートルを誇る規模です。この船は149の部材から成り、杉板を主材料として使用していました。その発見時には649の断片に分かれており、ギーザの台地に設けられた石坑に封印されていたため、長い間手つかずの状態で保存されていました。木材の接合には「モーティスアンドテノン接合技術」が用いられ、非常に頑丈な構造を形成しています。発掘後、エジプト考古庁により約28年をかけて復元作業が行われ、現在はピラミッドの近くにある博物館で公開されています。

1987年には、さらなる調査が行われ、クフ王の第二の船が発見されました。早稲田大学エジプト学研究所の研究チームは地中探査を行い、新たな船体の存在を確認。この別の船も持ち主のために造られたもので、現在は共同で復元作業が進められています。2012年には木製の部材の採取が開始され、600以上の木片が収集されている点も注目です。

船の目的

クフ王の船が具体的に何の目的で造られたのかははっきりしたことはわかっていませんが、いくつかの説があります。太陽神ラーの神聖な船とされることから、クフ王の死後の復活儀式のために使用される船に似ていることから名付けられています。しかし、大きな特徴として水を使った船としての痕跡が見られることから、単なる儀式の用ではなかった可能性もあります。研究者たちは、クフ王の遺体をメンフィスからギーザへの運搬に使われたのではないか、あるいは彼が巡礼へ出かけるための「巡礼の旅船」とされていたのではないかとも考えています。また、来世での使用のために埋められたともする説も存在します。

ヒエラティック文字と復原作業

特に第一の船の復元過程では、古代エジプトのヒエラティック文字が重要な役割を果たしました。分解保存されていた断片には、船体を構成する部材の位置や形状に関する指示が記録されていました。この情報を基に、舷側板や目板の接合部分を正確に復元する作業が行われています。ただし、残された部材には異なる文字も見られ、現在展示されている船と異なる形状で復元される可能性が高いことも指摘されています。

太陽の船博物館

クフ王の船の復元作業は、ギザの太陽の船博物館で見ることができます。この博物館には、古代エジプトの船造りの技術や文化の理解を深めるための貴重な資料が展示されています。

関連プロジェクト

早稲田大学理工学研究所による研究計画も注目に値します。2008年から2011年にかけて、クフ王第二の船の発掘・保存に関する研究が行われ、この結果は大いに期待されています。クフ王の船の背後にある歴史や文化の探求は、今後も続けられていくでしょう。

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