クマシデ

クマシデ（熊四手、学名：Carpinus japonica）は、カバノキ科クマシデ属に分類される落葉性の高木です。日本では、本州、四国、九州の日当たりの良い山地に自生しており、特に山地の沢沿いなどでよく見られます。別名としてカタシデ、オオクマシデとも呼ばれています。

特徴

クマシデは、高さ10〜15メートルに成長する落葉広葉樹です。樹皮は黒褐色で、成木になると縦に裂け、老木になると薄く剥がれてきます。同じクマシデ属のサワシバに似ていますが、樹皮の色味がより強い点が特徴です。一年枝には初め毛がありますが、その後無毛になります。

花期は4月で、雌雄異花です。小苞が重なり合った花穂の形が独特で、見分けるポイントになります。10月から11月にかけて、長さ4〜5cmの果実をつけます。果穂は円筒形で、多数の果苞がつき、冬になっても枝に残ります。

冬芽は長楕円形の鱗芽で、緑色を帯びており、多数の芽鱗に覆われています。枝先には仮頂芽がつき、側芽は枝に互生します。葉痕は半円形や楕円形で、維管束痕は小さく多数存在します。

クマシデの材は非常に堅いため、家具材や建築材、農具の柄など、様々な用途に利用されています。

その他

クマシデは、その独特な樹皮や花、果実の形状から、自然観察の対象としても人気があります。また、材の利用価値も高く、人々の生活にも密接に関わっている樹木と言えるでしょう。

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、135頁。ISBN 978-4-416-61438-9。

関連項目

アカシデ
* イヌシデ

クマシデは、日本の山地に自生する身近な樹木でありながら、その特徴的な姿や多様な利用価値から、深く知るほどに興味深い存在と言えるでしょう。

もう一度検索