クムゴル線

クムゴル線は、朝鮮民主主義人民共和国の咸鏡南道端川市にある汝海津駅から舞鶴駅までを結ぶ鉄道路線です。全長は83.4kmで、17の駅（両端駅を含む）を有しています。軌間は1435mmの標準軌で、全線が直流3000Vで電化されています。

概要

この路線の原型は、日本統治時代に建設された朝鮮マグネサイト開発鉄道です。当時、この地域で産出されるマグネサイトの輸送を目的として建設されました。しかし、路線の老朽化は深刻で、2020年代においても1930年代から40年代に敷設されたレールが使用されている区間が残っています。老朽化は安全上の懸念を引き起こしており、後述するような事故の一因となっています。

歴史

クムゴル線の歴史は以下の通りです。

1943年3月30日：朝鮮マグネサイト開発株式会社により汝海津駅 - 東巌駅間（27.7km）が開業。
1943年12月4日：東巌駅 - 龍陽駅（白金山駅）間（32.0km）が開業。
日時不明：白金山駅 - クムゴル駅間（3.7km）が開業。
1977年：電化。
1988年以降：クムゴル駅 - 舞鶴駅間が開業。

路線の延伸は、資源開発の進展と深く関わっています。特に、クムゴル駅から舞鶴駅間の開業は、その後の輸送需要の増加に対応するための重要なステップでした。

2023年脱線事故

2023年12月下旬には、新坪駅 - 梨坡駅間で列車が急勾配を登りきれずに逆走し、客車が脱線転覆するという重大事故が発生しました。この事故により、400人以上が死傷するという甚大な被害が生じました。事故の原因は、老朽化した車両や線路の状態、安全管理体制の不備などが複合的に絡み合っていると考えられています。

駅一覧

クムゴル線の駅はすべて咸鏡南道端川市内に位置しています。具体的な駅名については詳細な情報が限られていますが、各駅は地域住民の生活を支える重要な役割を果たしています。

今後の課題

クムゴル線は、老朽化対策、安全管理体制の強化、そして輸送能力の向上が喫緊の課題となっています。特に、老朽化した施設の更新は、安全な運行を確保するために不可欠です。また、事故の再発防止のため、安全教育の徹底や緊急時の対応能力の向上も重要な課題となります。北朝鮮の鉄道事情は情報が限られていますが、クムゴル線のような地方路線は、地域経済や住民生活に密接に関わっているため、持続的な発展に向けた投資と努力が求められています。

参考資料

国分隼人『将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情』新潮社、2007年。ISBN 9784103037316

関連項目

朝鮮民主主義人民共和国の鉄道
朝鮮総督府鉄道（鮮鉄）

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