クライド・オーティス

クライド・オーティスについて

クライド・オーティス（Clyde Otis）は、アメリカの音楽界で多大な影響を与えたソングライター兼音楽プロデューサーです。彼は1924年にミシシッピ州のプレンティスで生まれ、2008年にその生涯を閉じました。オーティスは、アフリカ系アメリカ人としては初めて大手レコード会社のA&R（アーティスト・アンド・レパートリー）担当役員として活躍し、多くのヒット曲を生み出しました。特に、ブルック・ベントンとのコラボレーションにより、数々の名曲を制作したことで知られています。

初期の経歴

オーティスは、第二次世界大戦中にアメリカ海兵隊に従軍しました。戦後、彼はニューヨークに移住し、音楽家としての道を歩み始めます。同僚だったボビー・トゥループが成功を収める様子を見て、自身も曲作りに挑戦しました。彼の出世作となったのは、ナット・キング・コールが歌った「That's All There Is to That」で、この曲は1956年に『ビルボード』誌でトップ20入りを果たしました。

A&R担当役員としての活躍

1958年、オーティスはマーキュリー・レコードにA&Rディレクターとして入社しました。そこで彼はブルック・ベントンのために多数の楽曲を提供し、その音楽制作にも携わりました。「It's Just a Matter of Time」、「Endlessly」、「So Many Ways」、「Kiddio」などの名曲が彼の手によって生まれました。さらに、ダイナ・ワシントンとのデュエット曲でも成功を収め、「Baby (You've Got What It Takes)」、「A Rockin' Good Way (To Mess Around and Fall in Love)」などがヒットしました。また、ワシントンの代表曲「What a Difference a Day Makes」や「This Bitter Earth」も彼の制作によるものです。

オーティスはその他にも、サラ・ヴォーンの「Broken-Hearted Melody」やティミー・ユーロの「Hurt」、さらにはザ・ダイアモンズの「The Stroll」といった曲にも関わり、その業績は非常に多岐にわたりました。1962年にはマーキュリーからリリースされた51曲のヒット曲の内、33曲がオーティスの手によるものでした。

音楽出版社の設立

その後、オーティスは短期間リバティ・レコードに勤めた後、独立し「クライド・オーティス・ミュージック・グループ」を設立しました。活動拠点をテネシー州ナッシュビルに移し、カントリー音楽のプロデューサーとしても著名な存在となります。チャーリー・リッチやソニー・ジェイムスなどのカントリー歌手のセッションを手掛け、彼が書いた楽曲はエルヴィス・プレスリーやアレサ・フランクリン、ジョニー・マティス、パティ・ペイジによっても歌われました。また、1970年代後半には再びブルック・ベントンと組み、数々のアルバムをリリースしました。

受賞歴

1994年には、ナタリー・コールのアルバム『Take a Look』が第36回グラミー賞で最優秀ジャズ・ボーカル・アルバム賞を受賞しましたが、これはオーティスの制作によるものでした。さらに、2000年にはリズム・アンド・ブルース財団からパイオニア賞を受賞し、彼の貢献が称賛されました。

私生活

オーティスはニュージャージー州イングルウッドに40年以上住み、2008年1月8日にその人生を終えました。彼は妻のルアデスと2人の息子、イシドロとクライド2世、娘のアナルザ、さらに5人の孫を残していきました。彼の音楽と彼が遺した足跡は、今なお多くの人々に影響を与えています。

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