クラッシュ (アルバム)

ボン・ジョヴィ『クラッシュ』解説

『クラッシュ』（Crush）は、アメリカのロックバンド、ボン・ジョヴィが2000年5月17日に発表した7枚目のスタジオ・アルバムです。前作『ジーズ・デイズ』から約5年ぶりとなる本作は、ソロ活動期間を経て制作され、最終的に60曲もの候補曲から厳選された楽曲が収録されています。

当初、プロデューサーには3rdアルバム『ワイルド・イン・ザ・ストリーツ』にも関わったブルース・フェアバーンが予定されていましたが、彼の急逝により、新たなプロデューサーを探すことになりました。そこで出会ったのがルーク・エヴィンであり、彼との作業に手応えを感じたことが、彼がプロデューサーに起用される決め手となりました。

アルバムの制作段階から、『ワイルド・イン・ザ・ストリーツ』や『ニュージャージー』に近い、アップビートで明るい雰囲気の楽曲が揃っていることが公表されていました。その言葉通り、本作は全体的にポジティブでエネルギッシュなサウンドが特徴です。

リード・トラックとなった「イッツ・マイ・ライフ」（It's My Life）は、彼らの代表曲「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」（Livin' On A Prayer）の歌詞にも登場する「トミーとジーナ」が登場し、2000年代の新たな息吹を吹き込み、世界的なヒットを記録しました。この曲は、ボン・ジョヴィの新たなファン層を開拓するきっかけともなりました。

また、「Next 100 Years」は、J-FRIENDSに提供した同名曲のセルフカバーです。元々は本アルバムのために書き下ろされた楽曲でしたが、J-FRIENDSのシングルとして発表されることが決まったため、結果的にセルフカバーという形になりました。ボン・ジョヴィバージョンは、よりバンドサウンドが強調されたアレンジとなっています。

アルバム発表後、久々となるツアーは2000年7月12日の東京ドーム公演からスタートしました。このツアーは、世界中のファンにとって待望の再会となり、大きな盛り上がりを見せました。

同年9月27日には、7月20日の大阪ドーム公演のライヴ音源をDISC-2に収録した『クラッシュ+LIVE FROM OSAKA』が日本盤限定で発売されました。さらに、2010年6月23日には『クラッシュ+ライヴ・トラックス』（Crush+Live Tracks）が発売され、アルバムの人気を再燃させました。

収録曲の中には、タイアップ曲も存在します。「サンキュー（Thank You For Loving Me）」は、テレビ朝日系ドラマ『29歳の憂うつ パラダイスサーティー』の主題歌として使用され、「セイヴ・ザ・ワールド（Save The World）」は、映画『U-571』の日本版イメージ・ソングとして起用されました。

『クラッシュ』は、ボン・ジョヴィが2000年代に再び世界的な人気を獲得するきっかけとなった重要なアルバムであり、彼らの音楽キャリアにおける新たなターニングポイントとなりました。

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