クリオ (シエラレオネ)

クリオ：シエラレオネのクレオール人

クリオ（Krio）は、西アフリカのシエラレオネ共和国に居住するクレオール人と、彼らが話すクレオール語を指す名称です。その起源は、奴隷制度から解放された黒人たちのコミュニティにあります。

歴史的背景

クリオのルーツは、18世紀後半から19世紀初頭にかけて、イギリスの奴隷廃止主義者たちの支援によってシエラレオネに移住してきた解放奴隷たちに遡ります。彼らは、現在の首都フリータウンを建設し、新たな生活をスタートさせました。移住者の中には、イギリス本国から来た解放奴隷や、イギリス海軍によって奴隷船から救出されたアフリカ人、さらには北米やカリブ海地域からの人々も含まれていました。これらの多様な背景を持つ人々が融合し、独自の文化とアイデンティティを形成していきました。

社会的地位と文化

クリオは、シエラレオネの人口構成においては少数派ですが、西洋文化に親しみ、高い教育水準を誇っていました。そのため、1961年の独立まで、シエラレオネの政治・経済を主導するエリート層を形成していました。しかし、独立後は地元民が政権を獲得し、クリオの影響力は徐々に低下していきました。

クリオ語

クリオ語は、シエラレオネの共通語として広く使われています。この言語は、主に英語をベースとしていますが、シエラレオネの様々な土着の言語からの影響も受けており、独自の語彙や文法を持っています。

クリオ子孫連合

現在、フリータウンにはクリオ子孫連合（Krio Descendants Union）という団体が存在します。この団体は、アフリカから奴隷として連れて来られたアメリカやカリブ地域の黒人たちの子孫との結びつきを強め、ルーツとの繋がりを意識することを目的として活動しています。クリオ子孫連合は、文化交流や歴史研究を通じて、クリオのアイデンティティを次世代に継承しようと努めています。

主なクリオ出身者

クリオ社会からは、様々な分野で活躍する著名人が輩出されています。

フレデリック・マコーマック: 俳優（ドラマ「LOST」「HEROES」、映画「ブラッド・ダイヤモンド」など）
グラディス・ケイスリー＝ヘイフォード: 教育者、詩人
アンドリュー・ジャクソン＝スミス: 国家改革議会（NRC）創設者、元議長
ウィンスタンレー・バンコレ・ジョンソン: フリータウン元市長
ウォレス＝ジョンソン: 労働組合組織者
クリストファー・オコロ・コール: シエラレオネ元大統領
クリフォード・ネルソン・パイル: シエラレオネ国歌作曲家、言語学者、作家
クリスティーナ・ソープ: 選挙管理委員会委員長
サミュエル・ルイス: 初代フリータウン市長
サミュエル・コールリッジ＝テイラー: 作曲家（父がクリオ人、母がイギリス人）
シリル・B・ロジャースライト: 統一シエラレオネ進歩党創設者
ジョン・テーラー: シエラレオネの知事
ジョン・ヘンリー・マラマー・トーマス: フリータウン元市長、商人
ドクター・サジェイ: ヒップホップミュージシャン
デビッドソン・ニコル: 作家、外交官
バレンタイン・ストラッサー: 元国家最高評議会議長
バンコール＝ブライト: シエラレオネ国民会議創設者
チャールズ・D・B・キング: リベリア大統領（両親がクリオ人）
ヘンリー・ジョサイア・ライトフット・ボストン: 政治家
ユニス・バーバー: 陸上選手
アハメド・ディーン: サッカー選手
オビー・メッガー: サッカー選手
アルバート・ジャレット: サッカー選手
ロドニー・ストラッサー: サッカー選手

クリオ (シエラレオネ)