クリスチャン・ポラック

クリスチャン・ポラック：日仏交流史に名を刻む歴史学者と実業家

クリスチャン・ポラック氏は、1950年8月、フランスでポーランド系フランス人の家庭に生まれました。幼少期から日本文化に興味を持ち、パリ第3大学東洋語学校（現パリ東洋言語文化大学）で日本語を専攻。藤森文吉氏やジャン＝ジャック・オリガス氏らに師事し、研鑽を積みました。

その後、森有正氏の推薦を得て、日本政府国費外国人留学生制度を利用し1971年に来日。早稲田大学言語学研究所で日本語を学び、1973年には一橋大学大学院法学研究科に進学。細谷千博教授に師事し、1980年に博士課程を修了しました。大学院修了後は一橋大学での教員職が期待されましたが、当時の法律により実現せず、コンサルタント会社を設立する道を選びました。

1981年、本田宗一郎氏の支援を受けて株式会社セリクを設立し、代表取締役社長に就任。同社は、日仏間のビジネス交流に大きく貢献しました。その後も、フォルシア日本法人代表取締役、在日フランス商工会議所副会頭などを歴任し、日本社会において重要な役割を果たしました。

学術研究においても、ポラック氏は顕著な功績を残しています。一橋大学、明治大学など多くの大学で客員教授を務め、後進の指導にあたりました。1985年にはフランス外務省外交史料館で、徳川家茂からナポレオン3世への親書を発見するなど、日仏交流史研究に多大な貢献をしました。また、ケ・ブランリ美術館でのポール・ジャクレー展監修を機に、レジオンドヌール勲章を受章するなど、その功績は高く評価されています。

ポラック氏の研究対象は幕末期の日仏交流史に集中しており、多くの著書や論文を発表しています。代表的な著書には、『ジャポニチュード―日本の深層構造』、『函館の幕末・維新』、『絹と光』、『筆と刀』、『百合と巨砲』、『1918-2018 : 日仏企業百年史』などがあります。これらの著作は、日仏関係史の理解を深める上で貴重な資料となっています。また、共編書『日仏航空関係史』や監修書『蚕の旅』などにも携わっており、幅広い分野で活躍しています。さらに、NHKのドキュメンタリー番組『海を渡った600体の神仏 -明治9年エミール・ギメが見た日本-』にも出演するなど、大衆への歴史教育にも貢献しています。

彼の業績は、レジオンドヌール勲章、フランス国家功労勲章、旭日小綬章など、数々の栄誉ある賞によって認められています。これらの受賞は、彼が日本とフランスの友好関係強化に貢献した証です。また、明治大学クリスチャン・ポラックコレクションの蒐集者としても知られており、日仏交流史に関する貴重な資料を収集・保存しています。

クリスチャン・ポラック氏は、単なる歴史学者や実業家ではなく、日仏両国の懸け橋として、両国の文化交流や経済発展に多大な貢献をした稀有な存在です。彼の功績は、これからも日仏関係の発展に大きな影響を与え続けるでしょう。彼の生涯と業績は、未来への指針となる貴重な遺産と言えるでしょう。

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