クリストバライト

クリストバル石：高温の石英と多様な性質

クリストバル石は、化学式SiO₂で表される二酸化ケイ素の結晶構造の一つです。別名方珪石とも呼ばれ、石英の高温型結晶として知られています。1470℃以上で安定な構造ですが、常温でも準安定状態として存在することができます。

産出と特徴

クリストバル石は、主に火山岩の空隙部で発見されます。日本では、長野県諏訪郡下諏訪町和田峠が重要な産地として知られており、他にもアメリカ、メキシコ、ドイツなど世界各地で産出が確認されています。

クリストバル石の結晶構造は、酸素原子を共有するSiO₄四面体が三次元的に連結したフレームワーク構造をとります。このフレームワークは温度によって変化し、高温では立方晶系（β相）の構造を持ちますが、250℃以下に冷却されると正方晶系（α相）へと相転移します。このα-β転移は、四面体の傾きによって生じ、相転移に伴う体積変化は、クリストバル石を含むレンガなどに熱サイクルを与えた際に、機械的損傷を引き起こす原因となります。β相は不規則な四面体構造である一方、α相では四面体が規則的に配列し、特定の軸方向に沿って双晶が生じやすい特徴があります。

二酸化ケイ素が不透明になる場合、クリストバル石は最初に生成される相であることが多く、プレシャスオパールを構成する微小球体もクリストバル石から成ることが知られています。

用途と安全性

クリストバル石は、種類によっては水分を含むと様々な物質を吸着する性質を持つため、汚水の浄化、土壌改良、セシウム吸着などへの応用が期待されています。

しかしながら、クリストバル石を含むシリカ[粉塵]]の吸入は、珪肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが知られています。国際がん研究機関]は、クリストバル石の[[粉塵を発がん性物質として分類しており、取り扱いには細心の注意が必要です。作業環境における適切な安全対策が不可欠です。

まとめ

クリストバル石は、その特異な結晶構造と、高温での安定性、そして吸着性といった性質から、多様な用途が期待される一方で、健康へのリスクも存在する鉱物です。その性質と危険性を十分に理解した上で、適切に取り扱うことが重要です。今後の研究により、更なる有用性や安全な使用方法が明らかになる可能性があります。

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