双晶

双晶：規則正しい結晶の接合

双晶とは、2つ以上の同一種類の結晶が、特定の角度で規則的に結合した状態を指します。まるで鏡に映ったように、あるいは幾何学模様のように、複数の結晶が一体化することで、独特の形状と対称性を生み出します。この結合様式は、結晶が成長する過程における物理的・化学的条件によって決定されます。

双晶の種類と特徴

双晶は、結晶の結合様式によって様々な種類に分類されます。

結合様式による分類: 結合部が軸状であれば「双晶軸」、平面であれば「双晶面」と呼ばれます。 結晶の数が2つの場合を単双晶、3つの場合を三連双晶、4つ以上の場合を集片双晶と呼びます。さらに、結晶同士が接合しているものを「接合双晶」、互いに貫入しているものを「貫入双晶」、大きな粒子の繰り返し構造を持つものを「繰り返し双晶」と分類します。
代表的な鉱物における双晶: 様々な鉱物が特有の双晶構造を示します。例えば水晶は、日本式双晶、ドフィーネ式双晶、ブラジル式双晶など、十数種類もの双晶が知られています。これらの双晶は、結晶の接合角度や、柱面上に現れる微小な面の配置によって識別されます。長石では、カルルスバット式双晶やバベノ式双晶、マネバッハ式双晶などが見られます。輝石や石膏は、結晶の中央で鏡面のように対称的な双晶構造を形成します。白鉛鉱や霰石などの斜方晶系鉱物では、3つの結晶が組み合わさり六角形の三連貫入双晶を形成する例もあります。十字石や灰十字沸石では、十字状の双晶が見られます。

水晶の双晶：多様な形態

水晶は特に双晶の多様性に富み、その形態も様々です。

日本式双晶: 2つの結晶が約84°33′の角度で接合しており、「平板式夫婦水晶」とも呼ばれます。江戸時代には、その形状から眼鏡の加工にも用いられたそうです。
ドフィーネ式双晶: 同軸上に双晶が形成され、一見すると単[[結晶]]と区別しにくい場合があります。しかし、柱面の隅にできる微小な面に着目することで識別が可能です。この微小な面は、単[[結晶]]では柱面ごとに左右どちらか片方にしか現れませんが、ドフィーネ式双晶では、同じ方向に連続して現れることが特徴です。
* ブラジル式双晶: 同軸式双晶で、柱面の隅にできる微小な面が、一つの柱面上に左右向かい合うように現れます。ドフィーネ式双晶とは異なり、右水晶と左水晶が結合したものです。

その他の鉱物の双晶

長石、輝石、石膏以外にも、多くの鉱物が特徴的な双晶構造を示します。これらの双晶は、結晶の対称性や成長条件を反映しており、鉱物の同定や分類に重要な手がかりとなります。

双晶と単[[結晶]]の区別

双晶と単[[結晶]]は、結晶構造や対称性の違いによって区別されます。単[[結晶]]は、内部構造が規則正しく、特定の方向に結晶軸を持つ一方、双晶は複数の結晶が結合しているため、その対称性が複雑になります。肉眼では区別が難しい場合もありますが、結晶の角度や微小な面の配置、X線回折などの分析手法を用いることで識別が可能です。

双晶の研究と応用

双晶の研究は、鉱物の生成過程や結晶成長機構の解明に役立ちます。また、双晶の形状や性質は、宝石や鉱物標本の価値を左右する要因にもなります。近年では、双晶構造を制御することで、特定の機能を持つ新しい材料の開発にも繋がることが期待されています。

まとめ

双晶は、結晶学において重要な現象であり、その多様な形態と形成機構は、研究者にとって魅力的な課題です。本記事では、双晶の基本的な概念から、代表的な鉱物における双晶構造、識別方法までを網羅的に解説しました。これらの知識は、鉱物学や結晶学の理解を深める上で役立つでしょう。

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