クリス・ヘンリー (ワイドレシーバー)

クリス・ヘンリー：光と影のアメリカンフットボーラー

クリス・ヘンリー（Chris Henry）は、1983年5月17日に生まれ、2009年12月17日に亡くなったアメリカンフットボール選手です。NFLのシンシナティ・ベンガルズでワイドレシーバーとして5シーズンプレーしました。彼の才能は目覚ましく、数々の記録を打ち立てましたが、同時にフィールド外でのトラブルも多く、波乱万丈な人生を送りました。

大学時代

ウェストバージニア大学に進学したヘンリーは、1年目に練習生として過ごした後、2003年に才能を開花させます。41回のキャッチで1,006ヤードを獲得し、10タッチダウンを記録。ビッグ・テン・カンファレンスのセカンドチームに選ばれるなど、目覚ましい活躍を見せました。シラキュース大学戦では、自己ベストとなる209ヤードを獲得し、2タッチダウンを挙げるなど、印象的なプレーを数多く披露しました。

2004年には、52回のキャッチで872ヤードを獲得し、大学タイ記録となる12タッチダウンを記録しました。シーズン終了後、彼は大学史上3人目となる1回あたりのキャッチ20ヤード以上、史上2位の22タッチダウンなどの記録を引っ提げ、2005年のNFLドラフトにアーリーエントリーすることを発表しました。

NFLでのキャリア

2005年のNFLドラフトで、ヘンリーはシンシナティ・ベンガルズから3巡目で指名され、入団を果たします。9月18日のミネソタ・バイキングス戦でデビューを飾り、この年31回のキャッチで422ヤードを獲得、6タッチダウンを記録しました。新人ワイドレシーバーとして6タッチダウンを記録したのは、1985年のエディ・ブラウン以来、20年ぶりの快挙でした。

チームは15年ぶりにプレーオフに出場し、ピッツバーグ・スティーラーズと対戦。ヘンリーはカーソン・パーマーからのパスを受けて66ヤードを獲得しましたが、そのプレーで彼とパーマーは共に膝を負傷し、サイドラインに下がることとなりました。

2006年には、36回のキャッチで605ヤードを獲得、9タッチダウンを記録。第2週のクリーブランド・ブラウンズ戦では、5回のキャッチで113ヤードを獲得し、続くピッツバーグ・スティーラーズ戦では2タッチダウンを挙げるなど、活躍を見せました。

しかし、2007年には開幕から8試合の出場停止処分を受けます。これは、ロジャー・グッデルコミッショナーが定めた個人行動規定によるものでした。第10週のボルチモア・レイブンズ戦で復帰し、4回のキャッチで99ヤードを獲得、翌週のアリゾナ・カージナルス戦では8回のキャッチで81ヤードを獲得、1タッチダウンを挙げました。この年の成績は、21回のキャッチで343ヤード獲得にとどまりました。

2008年には逮捕された後、ベンガルズから解雇され、NFLからも無期限出場停止処分を受けました。しかし、チームのワイドレシーバー陣に負傷者が続出したため、ベンガルズと再契約を結び、チームに復帰。この年、19回のレシーブで220ヤードを獲得、2タッチダウンを記録しました。

2009年11月、ボルチモア・レイブンズ戦で20ヤードのキャッチをした後、前腕を骨折し、故障者リスト入りとなりました。

フィールド外のトラブル

ヘンリーは、その才能とは裏腹に、数々のトラブルを引き起こしました。スピード違反、マリファナ所持、銃の不法所持、未成年者との飲酒、性的暴行疑惑など、様々な問題に関与し、逮捕や出場停止処分を受けました。これらのトラブルは、彼のキャリアに大きな影を落としました。

突然の死

2009年12月16日、ヘンリーは婚約者が運転するトラックの荷台から転落し、病院に搬送されましたが、翌12月17日に死亡しました。26歳という若さでの突然の死は、多くの人々に衝撃を与えました。

チームメイトたちは彼の死を悼み、ヘルメットに彼の背番号15をつけて試合に臨みました。彼の葬儀には、ベンガルズの関係者だけでなく、ロジャー・グッデルコミッショナーやレジー・ブッシュらも参列しました。

その後の調査で、彼が慢性的な外傷性脳症を患っていたことが判明しました。

クリス・ヘンリーは、その短い生涯の中で、アメリカンフットボール選手として輝かしい才能を見せましたが、同時に多くの問題を抱え、波乱万丈な人生を送りました。彼の死は、才能あるアスリートが抱える問題について、改めて考えさせられる出来事となりました。

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