クリプトグラム

クリプトグラム：競走馬から誘導馬へ

クリプトグラムは、2012年5月14日生まれの競走馬です。その馬名は、「暗号」を意味するCryptogramから取られており、神秘的な活躍への期待が込められています。母名にちなみ、その神秘的な活躍を予感させる命名となりました。

クリプトグラムはノーザンファームで生産され、キャロットファームから募集されました。栗東トレーニングセンターの藤原英昭厩舎に所属し、競走馬としてのキャリアをスタートさせます。

2014年10月、2歳でデビュー。初戦は惜しくも2着に終わりましたが、続く未勝利戦で初勝利を挙げます。その後も順調に勝ち上がり、3歳時には500万下、4歳時には1000万下を制覇し、1600万下へと昇級を果たしました。

そして、4歳時、クリプトグラムは大きな挑戦に挑みます。格上挑戦となるオープン競走、大阪-ハンブルクカップです。単勝1番人気に支持されたクリプトグラムは見事勝利。オープンクラスへの昇級を果たし、通算4勝目を挙げました。

続く5月29日、クリプトグラムは重賞初挑戦となる目黒記念（GII）に挑みます。単勝3番人気に支持されたクリプトグラムは、後方からレースを進め、最後の直線で力強く抜け出し、1番人気だったマリアライトをクビ差抑え、見事勝利を収めました。重賞初制覇という大きな勲章を手にしたのです。

しかし、栄光の瞬間は長くは続きませんでした。レース後、左橈骨遠位端の骨折が判明。6ヶ月以上の休養を余儀なくされます。

復帰を目指し調整を進めていたクリプトグラムでしたが、5歳時、日経新春杯の最終追い切りで転倒。幸いにも馬体への故障はありませんでしたが、出走を回避せざるを得ませんでした。その後も、熱発により日経賞への出走も取りやめとなりました。

そして、1年以上のブランクを経て、クリプトグラムは再び目黒記念に出走。4着という結果に終わりましたが、レース後に右前足の繋ぎ部分の浅屈腱炎と診断され、現役続行を断念することとなりました。6月8日、競走馬としての登録を抹消され、引退することになります。

華々しい競走馬としてのキャリアを終えたクリプトグラムですが、その馬生はここで終わりではありませんでした。引退後は東京競馬場で乗馬となり、2018年には誘導馬としてデビュー。その愛らしい容姿から「ベビーフェイスの貴公子」という愛称で親しまれ、多くの競馬ファンを魅了しました。2024年8月24日には、札幌競馬場で行われたホースショーで馬術演技を披露するなど、第二の馬生でも活躍を続けています。

クリプトグラムの血統には、2004年京都牝馬ステークス優勝馬であるチアズメッセージや、京阪杯・七夕賞勝ち馬のチアズブライトリーといった名馬の名前が刻まれています。

競走馬として、そして誘導馬として、クリプトグラムは競馬界にその名を刻み込み、多くの人々に感動を与え続けています。そのドラマチックな人生は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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