クルドサック

クルドサック (cul-de-sac)

クルドサック（cul-de-sac）は、住宅地における宅地割りで用いられる、袋小路状の道路を指します。フランス語で「袋の尻」を意味し、道路の末端が円形になっており、自動車は通り抜けできませんが、Uターンが可能です。

概要

クルドサックは、通過交通を抑制し、周辺住民のみが利用することを目的としています。行き止まりの道路では防災上の問題が生じる可能性があるため、クルドサックの先に歩行者用の路地を設け、避難路を確保する設計も存在します。

計画的なクルドサックの配置で有名なのは、ニュージャージー州のラドバーンです。日本では、大規模な宅地開発の基準として行き止まり道路が制限されていたため、クルドサックの導入は限定的でした。しかし、近年では東京都板橋区の常盤台、神奈川県横浜市青葉区の美しが丘（たまプラーザ）、埼玉県東松山市のむさし緑園都市高坂地区（高坂ニュータウン）などの大規模開発地で見られるようになりました。

ミニ開発など、開発基準から除外された小規模な住宅地では、土地の有効活用を目的にクルドサックが採用されるケースもあります。ただし、ロータリーが設置されない場合や、歩行者用の路地が接続されていない場合も多く、厳密にはクルドサックとは異なる形態となることもあります。

メリット

交通量の抑制: 通り抜けができないため、通過交通が減少し、居住者以外の車両の侵入を防ぎます。これにより、歩行者や子供の安全性が向上します。
静かな住環境: 交通量が少ないため、騒音が低減され、静かで落ち着いた住環境が実現します。
コミュニティの形成: 道路が生活道路としての役割を強めるため、住民同士の交流が促進され、コミュニティ意識が高まる可能性があります。

デメリット

交通の偏り: 特定の道路に交通が集中し、渋滞が発生する可能性があります。
除雪の困難性: 袋小路状の形状のため、除雪作業が煩雑になることがあります。特に、大型の除雪車が進入できない場合は、手作業での除雪が必要となるため、負担が増加します。
緊急車両の進入: 緊急車両が進入しにくい場合があります。特に、道幅が狭い場合や、駐車車両が多い場合は、緊急時の対応が遅れる可能性があります。

法規制

宅地造成などにおける袋路状道路の設置には、一定の基準があります。

延長: 延長が35mを超える場合は、終端および35m以内ごとに自動車の転回広場を設ける必要があります。
幅員: 幅員が6m以上確保されている必要があります。
その他: 延長が35m以下の場合や、転回に支障がない広場などに接続している場合は、上記基準が緩和されることがあります。袋路状道路の幅をDとすると、4m≦D＜6mの場合であるが、D が6m以上の時は35m以上でも良い。

関連項目

交通静穏化
近隣住区
歩道

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