クレオパトラ (1934年の映画)

クレオパトラ：セシル・B・デミルが描く古代エジプトの女王

1934年、アメリカで公開された映画『クレオパトラ』は、セシル・B・デミル監督による歴史スペクタクル作品として大きな話題を呼びました。豪華絢爛な衣装や壮大なセット、そして実力派俳優たちの熱演が相まって、公開当時アメリカで興行収入1位を獲得するという快挙を成し遂げました。

この映画は、古代エジプトの女王クレオパトラ7世の生涯を壮大なスケールで描いた叙事詩です。クレオパトラ役には、のちにアカデミー賞にノミネートされるなど数々の賞を受賞するクローデット・コルベールが抜擢されました。彼女の気品と知性、そしてカリスマ性あふれる演技は、クレオパトラという歴史上の女王像を鮮やかに描き出しています。

コルベール演じるクレオパトラを取り巻く重要な人物たちも、実力派俳優たちによって演じられています。ジュリアス・シーザー役にはウォーレン・ウィリアム、マーク・アントニー役にはヘンリー・ウィルコクソンといった、当時を代表する名優たちが顔を揃えています。彼らの存在感と演技力は、物語に深みと重厚感を与え、観客を古代ローマの世界へと引き込みます。

デミル監督の演出もこの映画の成功に大きく貢献しました。彼は、歴史的な正確さと、観客を魅了するエンターテインメント性を両立させることに成功しています。古代エジプトの文化や風習、そして当時の政治情勢なども丁寧に描写されており、歴史に興味のある観客にとっても見応えのある作品となっています。

また、映画の美術デザインも特筆すべき点です。壮大な宮殿や神殿、そして豪華な衣装は、当時のハリウッド映画の中でもトップクラスのクオリティを誇り、映画全体の雰囲気を大きく盛り上げています。特に、コルベールが着用する衣装は、トラヴィス・バントンによるデザインで、細部までこだわった精巧な作りが印象的です。

音楽はルドルフ・G・コップが担当し、劇的な展開をさらに盛り上げる効果音と相まって、観客の感情を揺さぶる素晴らしい作品に仕上がっています。

アカデミー賞においては、撮影賞（ヴィクター・ミルナー）を受賞、作品賞、編集賞（アン・ボーチェンス）、録音賞、助監督賞にもノミネートされました。これらのノミネートからも、この映画が高く評価されていたことが分かります。

『クレオパトラ』は、単なる歴史映画にとどまらず、豪華絢爛な映像と、俳優たちの名演、そして巧みな演出によって生み出された、忘れがたい名作です。現代の観客にとっても、その魅力は色褪せることなく、古代エジプトとローマ帝国の歴史を体感できる貴重な作品として、高く評価されています。 日本語吹替版では、沢田敏子、西田昭市、仲村秀生といったベテラン声優陣が豪華キャストを吹き替えています。

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