クレシラス

クレシラス: 古代ギリシャの彫刻家

クレシラス（Kresilas）は、古代ギリシャの著名な彫刻家であり、紀元前5世紀に活躍しました。彼はクレタ島のキュドニア出身で、ペロポネソス戦争の時期にアテナイで活動を行っていました。クレシラスは、同時代の彫刻家ミュロンの作風を受け継ぎ、理想主義的な肖像の表現に優れた技術を持っていました。

ペリクレス像

彼の代表作の一つに、アテナイで制作されたペリクレス像があります。この像はストラテゴス、すなわち将軍を象徴するもので、頭にはコリントス式の兜を戴いています。像の基部はアクロポリスから発見され、古代の旅行者であるパウサニアスもこのブロンズ像を『ギリシャ案内記』で詳述しています。ペリクレス像は多くの美術館に所蔵されており、バチカン美術館、大英博物館、ベルリン旧博物館などで見ることができます。特に、バチカン美術館にはその後の作品の派生品が展示されており、クレシラスの技術の影響を窺い知ることができます。

エフェソスのアマゾン

クレシラスはまた、エフェソスのアルテミス神殿の競技大会に参加し、負傷した男たちや瀕死のアマゾンの像を手がけました。この競技大会には、同時期の著名な彫刻家であるペイディアスやポリュクレイトスも参加していました。特に、クレシラスの「負傷したアマゾン」像は大プリニウスの『博物誌』にも記載されており、バチカン美術館に収蔵されています。この像は、彼の技術と表現力を示す重要な作品とされています。

ヴェッレトリのアテーナー

さらに、クレシラスは「ヴェッレトリのアテーナー」として知られるアテーナー像の創始者でもあることが確認されています。このタイプの像は後の時代にも影響を与え、多くの彫刻家にインスピレーションを与えました。

影響と評価

現代においても、クレシラスの作品は古代ギリシャの彫刻の重要な一部と見なされており、その影響は今なお続いています。彼の作品を通して、古代ギリシャ人の美に対する考え方や哲学を理解することができ、彼の技術や創造力は多くの人々に感動を与え続けています。

このように、クレシラスはその特異なスタイルと技術で古代ギリシャ彫刻に一石を投じ、彼の作品は時代を超えて人々に評価されています。

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