クロシュ・レザー・パフラヴィー

クロシュ・レザー・パフラヴィー

クロシュ・レザー・パフラヴィー（Reza Pahlavi）は、1960年10月31日、イランのテヘランに生まれました。彼は、パフラヴィー朝最後の皇帝であるモハンマド・レザー・パフラヴィー陛下と、皇后ファラー・ディーバー妃殿下の間に生まれた長男であり、イラン帝国の皇太子でした。

経歴と亡命

1979年、イラン革命が発生し、父である皇帝が国外への亡命を余儀なくされるとともに、約2500年続いたイランの帝政は崩壊しました。当時、国外にいたクロシュ・レザー・パフラヴィーもまた、祖国に戻ることができなくなり、アメリカ合衆国へ移り住みました。以降、彼は故郷を離れて生活し、アメリカを拠点に活動を続けています。

民主化運動家としての活動

アメリカに定住して以来、クロシュ・レザー・パフラヴィーはイラン・イスラーム共和国の現体制に対する批判を展開し、民主化運動家としての道を歩んでいます。彼は、イラン国内で深刻化している人権侵害について国際社会に訴えるとともに、慈善活動や様々なネットワークを通じて、イランの民主化を支援する活動を行っています。

政治的な見解と発言

クロシュ・レザー・パフラヴィーは、イランの将来について積極的に発言しています。2020年には、当時相次いでいたイラン国内の大規模な抗議活動や、ウクライナ国際航空機撃墜事件に対する国民の反発といった状況を背景に、最高指導者アリー・ハーメネイー師が率いる現在の体制は、数ヶ月以内という近い将来に崩壊する可能性があるとの見方を示しました。また、欧米の主要各国に対して、現イラン政府との交渉を避けるよう強く訴えました。

2024年5月に発生した東アーザルバーイジャーン州でのヘリコプター墜落事故で、エブラーヒーム・ライースィー大統領らが死亡した際にも、彼は声明を発表しました。その中で、ライースィー氏を「追悼する価値もない残虐な人物」と激しく非難し、ハーメネイー師を頂点とするイスラーム共和国体制の転換が必要であるとの考えを改めて主張しました。

さらに、2025年6月にイスラエルがイラン革命防衛隊の拠点などを攻撃した際には、彼はこの機をとらえ、イランの国軍、警察、治安部隊に対し、現体制から離反するよう公然と呼びかけ、イスラーム共和国を打倒したいとの明確な意向を表明しました。

支持基盤と王政復古論

イラン国内外には、現体制の転換を目指す様々な政治勢力が存在しますが、その一部には、クロシュ・レザー・パフラヴィーを将来の元首として擁立し、象徴としての国王を戴く民主的な立憲君主制国家をイランに樹立することを支持する人々がいます。また、イラン国内で発生する反政府的なデモ活動においては、現体制への不満の表れとして、王政復古を求めるスローガンが叫ばれる場面も見られます。

その他の情報

クロシュ・レザー・パフラヴィーには、同じく国外で生活していた弟のアリー・レザー・パフラヴィー氏がいましたが、彼は2011年に自ら命を絶っています。

クロシュ・レザー・パフラヴィーは、亡命先の地からイランの政治状況に強い影響力を持とうとしており、その動向は今後も注目されます。

もう一度検索