クロスオーバーレブ!

クロスオーバーレブ！

『クロスオーバーレブ！』（英語表記:Cross Over Rev）は、山口かつみが手掛ける日本の漫画作品です。秋田書店のウェブコミック誌『マンガクロス』にて、2019年3月14日から連載が始まりました。本作は、作者の代表作である『オーバーレブ!』の約10年後の世界を描いており、前作に登場したお馴染みのキャラクターたちも多数登場し、物語を彩ります。

あらすじ

物語の舞台は福岡県福岡市。主人公の鈴科萌兎（すずしな もと）は、現代の若者には珍しく、自動車に対して並々ならぬ関心を持ち、「走ること」に情熱を燃やす女子高生です。彼女が車に興味を持ったきっかけは、母親であるりんや、その悪友たちの教え、そしてテレビで見た世界ラリー選手権（WRC）での女性ドライバー、志濃涼子の鮮烈な走りでした。運転免許を取得し、初めてのドライブに出かけたその日、モトは10年ぶりに日本へ帰国していた伝説のドライバー、涼子、そしてその友人の片山愛香と偶然の出会いを果たします。この運命的な出会いを通して、モトは改めて「走ること」、そして「生きること」の素晴らしさに目覚め、自身の道を歩み始めます。

登場人物とその愛車

主要人物

鈴科 萌兎（すずしな もと）/ モト
本作の主人公である女子高生。非凡な動体視力、身体能力、そして度胸を兼ね備えており、マウンテンバイクのレースで実績があります。免許取得以前から、母の悪友たちによって軽トラックでの運転訓練を受け、ドリフトテクニックまで習得するほどの高い運転技術を身につけています。父がかつて乗っていたE-JA4型ホンダ・トゥデイをプレゼントされ、愛車としています。涼子とは血縁関係があり、モトは彼女の従姪にあたります。
搭乗車種: E-JA4 ホンダ・トゥデイ

志濃 涼子（しの りょうこ）
前作『オーバーレブ!』の主人公。スバルの支援のもと、育成プロドライバーとしてWRCで活躍していましたが、スバルのWRC撤退により支援が打ち切られます。その後はプライベーターとしてヨーロッパ各地のレースに参戦していましたが、資金難によりレース継続が困難になり、10年ぶりに日本に帰国しました。帰国後、旧友の麻生拓郎に預けていたかつての愛車、AW11型トヨタ・MR2を取りに行きますが、行方不明になっていることを知らされます。そのAW11を探す道中で九州に立ち寄り、モトと出会います。現在は、拓郎の経営する中古車店から貸与されたE-PG6SA型マツダ・AZ-1を代車としており、AW11を小型化したような形状から「ジュニア」と呼んでいます。モトの母親りんは彼女の従姉妹にあたり、りんの死後はモトの保護者となるため、モトの家に住むことになります。
搭乗車種: E-PG6SA マツダ・AZ-1

片山 愛香（かたやま あいか）/ アイカ
涼子の友人であり、走り屋仲間です。九州の自動車整備工場で働きながら、走り続けています。10年ぶりに帰国した涼子や、旧友のサワコ、サリ、そしてモトと再会します。
搭乗車種: EG6 ホンダ・シビック SiR（ノーマルルーフ仕様）

森田 佐和子（もりた さわこ）/ サワコ
涼子の友人。かつてはランジェリーパブで働いていましたが、現在は動画サイト「NEWTUBE」でトップクラスの人気を誇る動画投稿者です。アイカに会うため、涼子やサリと共に福岡を訪れます。
搭乗車種: Z34 日産・フェアレディZ NISMO, s14 日産・シルビア ks 後期

橘 沙璃（たちばな さり）/ サリ
涼子の友人。涼子たちには内緒で結婚していましたが、既に離婚しており、結婚にはもう懲りたと語っています。元夫は原嶽光郎です。福岡を訪れた時点ではサワコのZ34に同乗していましたが、コミックス第6巻のキャラクター紹介にて、プジョー・106に乗っていることが明かされました。
登場車種: プジョー・106 Rallye

モトの関係者

麻比奈 栞（あさひな しおり）
モトが通う高校の同級生で、裕福な家庭のお嬢様です。自動車教習所でモトの運転姿を見て、彼女と車に興味を持ち、友人になります。しかし、お嬢様育ちのためか、初めてモトと会った際に「ガソリン代を全額負担するので友達になってほしい」と持ちかけるなど、金銭で人間関係や物事を解決しようとする悪癖があります。容姿端麗で、高校生ながらモデルとしても活動しています。

鈴科 りん（すずしな りん）
モトの母親。モトに車の素晴らしさを教え、彼女が自動車に興味を持つきっかけを作った人物です。モトが幼い頃に夫である雲太郎が失踪して以来、女手一つでモトを育て上げました。現在は食堂を経営していますが、若い頃は伝説のヤンキーとして恐れられていました。涼子とは従姉妹の関係ですが、幼少期に一度会ったきりで、ほとんど面識はありませんでした。末期の肝臓癌を患っていましたが、治療を受けずに緩和ケアを選択し、周囲には病状を隠していました。モトが初めてのレースを経験した夜、モトをドライブに連れ出し、父親の思い出話を語ります。帰り道、運転をモトに代わり、助手席で眠るように息を引き取りました。

鈴科 あき（すずしな あき）
りんの母親で、モトの祖母にあたります。モトの良き理解者であり、温かく彼女を見守っています。占いに精通しており、その的中率の高さから権力者からも信頼を得ている、町の実力者です。旧姓は志濃であり、涼子の父親の実姉であるため、涼子の伯母にあたります。

助丸（すけまる）、陸（りく）、清太（せいた）
自動車整備工場で働く、りんの悪友たちです。軽トラックを改造してサンデーレースに出場しており、自分たちの車でトップになることを目指しています。りんに内緒でモトの運転技術を鍛え上げた張本人たちです。トゥデイを保管していたのも彼らで、「トゥ」をうまく発音できないのか、意図的に「ツデー」と呼んでいます。

寺崎 シュウ（てらさき シュウ）/ テラくん
モトの隣に住む引きこもりの大学生です。

鈴科 雲太郎（すずしな くもたろう）
モトの父親。15年前にトゥデイを残して姿を消し、現在は行方不明です。行方不明になる前は、軽自動車でどんな車にも勝利する伝説の走り屋として知られ、茜色のトゥデイを駆ることから『マダーレッド（茜色）のトゥデイ』と呼ばれていました。この異名は、トゥデイに敗れた走り屋たちが「殺されたも同然（マーダー）」と嘆いたことに由来するダブルミーニングです。

手嶌（てしま）
栞の運転手で、ベントレー・フライング・スパーを運転し彼女を送迎しています。かつてはスズキ・アルトワークスを駆る「アルトのテシモ」と呼ばれた伝説的な走り屋で、峠道の下りでR32型スカイラインGT-Rをテール・トゥ・ノーズで追い回したなどの逸話を持つ優れた腕前を持っています。現在も、モトにFF車でのドリフトを伝授したり、状況を的確に解説したりと、その技量は衰えていません。

涼子の関係者

赤岡（あかおか）
フルネームは不明。涼子がかつて勤務していた自動車解体工場「赤岡自動車」の元代表です。涼子がプロデビューする際に共にヨーロッパへ渡りましたが、体調不良のため先に帰国しました。その後、赤岡自動車を廃業し、麻生拓郎が預かっていた涼子のAW11型MR2を無断で持ち去り、音信不通になったとされています。

麻生 拓郎（あそう たくろう）
涼子の走り屋仲間。スタートダッシュと直線での加速だけが持ち味だったことから、自称・他称ともに「褐色の弾丸」の異名を持っていました。現在は走り屋稼業を休止し、祖父から引き継いだ中古車販売店を経営しており、特にスポーツカーの販売に力を入れています。涼子が海外へ旅立つ際にAW11型MR2を預かりましたが、涼子より先に帰国した赤岡に持ち去られてしまいました。その償いとして、涼子にAZ-1を代車として提供し、自身も走り屋としての復活を考え始めます。現在の愛車はs15型シルビアで、久々に峠バトルに挑む姿も見られます。『オーバーレブ!』時代よりも走りの技術は向上しており、相手を意図的にスピンさせて停車させるほどの腕前を見せます。

武内トオル（たけうち トオル）
涼子の幼なじみ。かつての面影はなく、恰幅が良くなっています。かなりの資産家で、麻生拓郎を通じて涼子のAZ-1の車両価格やサーキット走行費用などを援助しています。愛車はアウディR8です。

書誌情報

山口かつみ『クロスオーバーレブ！』 秋田書店〈ヤングチャンピオンコミックス〉

既刊14巻（2025年5月20日現在）

第1巻 2019年8月20日発売、ISBN 978-4-253-14164-2
第2巻 2020年3月25日発売、ISBN 978-4-253-14165-9
第3巻 2020年7月20日発売、ISBN 978-4-253-14166-6
第4巻 2020年9月17日発売、ISBN 978-4-253-14167-3
第5巻 2021年3月18日発売、ISBN 978-4-253-14168-0
第6巻 2021年8月19日発売、ISBN 978-4-253-14169-7
第7巻 2022年4月20日発売、ISBN 978-4-253-14170-3
第8巻 2022年10月20日発売、ISBN 978-4-253-14199-4
第9巻 2023年4月20日発売、ISBN 978-4-253-14206-9
第10巻 2023年10月19日発売、ISBN 978-4-253-14208-3
第11巻 2024年4月18日発売、ISBN 978-4-253-31201-1
第12巻 2024年6月19日発売、ISBN 978-4-253-31202-8
第13巻 2024年12月19日発売、ISBN 978-4-253-31203-5
第14巻 2025年5月20日発売、ISBN 978-4-253-31204-2

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