クロスビー、スティルス&ナッシュ (アルバム)

クロスビー、スティルス&ナッシュ (Crosby, Stills & Nash) - 音楽史を彩るデビューアルバム

クロスビー、スティルス&ナッシュ（CS&N）が1969年に発表したファースト・アルバムは、単なるデビュー作にとどまらず、音楽史における重要なターニングポイントとなりました。３人の才能が融合し、唯一無二のサウンドを確立したこのアルバムは、時代を超えて愛され続けています。

制作の背景

1968年12月、ジョン・セバスチャンの提案がきっかけとなり、デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グラハム・ナッシュの３人はニューヨーク州サグ・ハーバーに集まりました。そこで最初のレコーディングに臨みましたが、満足のいく結果は得られませんでした。その後、ロングアイランドで数週間のリハーサルを経て、1969年2月から3月にかけてロサンゼルスのウォーリー・ハイダー・スタジオ IIIで本格的なレコーディングが行われました。

レコーディング・セッションは、外部の人間を徹底的に排除して行われました。アトランティック・レコードの創設者であるアーメット・アーティガンでさえ、コントロール・ルームへの立ち入りを断られたというエピソードは、彼らの作品に対する強いこだわりを物語っています。しかし、「プリ・ロード・ダウン」のレコーディング中には、キャス・エリオット（ママス&パパス）が乱入。「私に歌わせないなら、あなたたちはもう我が家に出入り禁止よ」と迫り、彼女の歌声がハーモニーに加えられることになりました（ノン・クレジット）。

リリースと評価

1969年5月29日にリリースされたこのアルバムは、ビルボードのアルバムチャートで6位を記録。その音楽的な完成度の高さは、批評家からも高く評価され、『ローリング・ストーン』誌が選んだ「歴代最高のアルバム500選」において161位に選ばれています。

ジャケット写真の裏話

アルバムのジャケット写真もまた、印象的なイメージとして語り継がれています。ウェスト・ハリウッドの廃屋で撮影された写真は、彼らの音楽性を象徴するものとして、グループ自身も気に入っていました。しかし、撮影後、グループ名が決定したため、撮り直しを試みた際には、すでに家は解体されてしまっていたというエピソードも残っています。

収録曲

Side 1
1. 組曲: 青い眼のジュディ - Suite: Judy Blue Eyes
2. マラケッシュ行急行 - Marrakesh Express
3. グウィニヴィア - Guinnevere
4. 泣くことはないよ - You Don't Have to Cry
5. プリ・ロード・ダウン - Pre-Road Downs

Side 2
1. 木の舟 - Wooden Ships
2. 島の女 - Lady of the Island
3. どうにもならない望み - Helplessly Hoping
4. ロング・タイム・ゴーン - Long Time Gone
5. 49のバイ・バイズ - 49 Bye-Byes

まとめ

『クロスビー、スティルス&ナッシュ』は、３人の才能が結集し、音楽史に輝かしい足跡を残した名盤です。美しいハーモニー、心に響くメロディ、そして時代を捉えた歌詞は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。音楽ファンであれば、必ず聴いておきたい１枚と言えるでしょう。

参考文献
ピーター・ドゲット 著、川村まゆみ 訳『CSNY――クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの真実』DU BOOKS、2020年6月26日。ISBN 9784866471044。

外部リンク
Crosby-Stills-Nash-Crosby-Stills-Nash - Discogs (発売一覧)

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