クロトキ

クロトキ（黒朱鷺）

クロトキ（学名：Threskiornis melanocephalus）は、ペリカン目に属するトキ科の珍しい鳥です。全長は約70センチほどで、見た目は主に白色の体に、独特の黒い顔と長い黒い脚が印象的です。特に特徴的なのは、成長するにつれて頭部から首にかけての羽毛が抜けて裸の黒い皮膚が露出することで、幼鳥は頭部に灰黒色の羽を持つため、成鳥とは異なる外見をしています。

分布と繁殖

この種は主に中国の東部や東南アジアの特定地域、さらにはインドやスリランカに分布しています。中国の繁殖個体は冬になると東南アジアに渡り、越冬します。また、日本では冬の訪れと共に稀に姿を見せるものの、近年ではその記録が少なくなっています。主に西日本にまれに現れ、特に幼鳥が見られることが多いです。かつては日本でも繁殖していたとされ、江戸時代の絵画にはクロトキが描かれています。また、古文書には「カマサギ」「ナベカムリ」「クロクビ」といった名称で言及されています。

生態と行動

クロトキは湖沼や水田、干潟などの水辺で見かけ、主に魚類や昆虫などの小動物を食べることで知られています。飛ぶ際には首と脚を真っ直ぐに伸ばし、優雅な姿で空を舞います。彼らは群れで生活し、繁殖も同様に集団で行われることが多いです。特に水辺の樹林においては、他のサギ類と混ざり合って繁殖することが一般的です。彼らの鳴き声は「グワァ」と響き、特に繁殖期には活発に見られます。

保全状況

国際自然保護連合（IUCN）のレッドリストでは、クロトキは「近危急種」として位置づけられており（NEAR THREATENED）、日本の環境省のレッドリストでも情報不足とされています。

参考文献

• - 真木広造他　『日本の野鳥590』　平凡社
• - 高野伸二他 『山溪カラー名鑑　日本の野鳥』、山と溪谷社

関連項目

• - アフリカクロトキ
• - オーストラリアクロトキ
• - 日本の野鳥一覧

外部リンク

• - クロトキ画像

クロトキは、その美しい外見と、生態における特異性から、私たちに豊かな自然を思い起こさせる存在です。希少なこの鳥を通じて、生物多様性の重要性を再認識する必要があります。

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