クロニクル千古の闇

ミシェル・ペイヴァーによる児童文学作品『クロニクル千古の闇』（Chronicles of Ancient Darkness）は、石器時代の北欧を舞台にした冒険ファンタジー小説です。全9巻からなる壮大なシリーズで、日本語版は8巻まで出版されています。翻訳はさくまゆみこ氏、絵は酒井駒子氏が担当。

世界観

物語の舞台は紀元前4000年、石器時代の北欧の森。人々は氏族ごとに自給自足の生活を営んでいます。魔導師や〈魂食らい〉と呼ばれる存在が魔術を操り、〈天地万物の精霊〉などの超自然的な力も登場するファンタジー要素が特徴です。しかし、古代の人々の暮らしぶりは、著者の綿密な取材に基づいて忠実に描写されており、物語にリアリティを与えています。

登場人物

主人公

トラク: 〈生霊わたり〉の能力を持ち、他の生き物の体に魂を入り込ませることができます。幼い頃にオオカミに育てられたため、オオカミ語を話すことができます。弟分のオオカミ、ウルフと行動を共にし、現在はフィン＝ケディンの養子となっています。額には、ハズシにされた名残である森、海、氷、山を意味する4色の刺青が刻まれています。

ワタリガラス族

レン: ワタリガラス族の少女。魔術の才能をセイアンに見出されています。幼い頃に父を亡くし、叔父であるフィン＝ケディンの元で暮らしています。弓の使い手であり、狩人になることを夢見ています。母は〈魂食らい〉のセシュル。氷河に対してトラウマを抱えています。
フィン＝ケディン: ワタリガラス族の族長で、レンの叔父であり、トラクの養父。森の氏族からの信頼も厚いです。かつてトラクの母に恋心を抱いていました。
セイアン: ワタリガラス族の魔導師。森の氏族で最も年老いた人物。「決戦のとき」に死亡しますが、その後レンの元に霊として現れます。
ホード: ワタリガラス族の青年で、レンの兄。誤ってトラクの父を殺したクマを、〈魂食らい〉が作り出す手助けをしてしまいます。
オスラク: ワタリガラス族の青年。ホードの子分的存在で、面倒見の良い性格。トラクを気にかけていましたが、「生霊わたり」の流行病に罹り、苦しみから逃れるために自ら命を絶ちます。
タル: ワタリガラス族の青年。「決戦のとき」では、フィン＝ケディンからワタリガラス族の指揮を任されます。
イータン: ワタリガラス族の青年。タルと行動を共にすることが多いです。

アザラシ族

イスリン: アザラシ族の族長。
ベイル: アザラシ族の少年。トラクを捕らえアザラシ島へ連れて行きます。トラクの親族にあたり、皮舟の使い手。レンに惹かれていきますが、〈魂食らい〉シアジに殺されてしまいます。
アスリフ: アザラシ族の少年。岩登りが得意です。
デトラン: アザラシ族の少年。

イノシシ族

アキ: イノシシ族の少年。初めはトラクを憎んでいましたが、命を助けられたことで考えを改めます。「決戦のとき」では病に罹り、レンに看病されます。

その他

ガウプ: サケ族の男。行方不明の娘を探しています。
デュレイン: アカシカ族の魔導師。「決戦のとき」では氏族の指揮を執りますが、病に倒れます。
トラクの母: トラクに〈天地万物の精霊〉と〈生霊わたり〉の能力を授ける代わりに、自身の命を捧げます。
クルコスリク: ユキウザギ族の族長。トラクと友好関係にあります。チェルコの父。
チェルコ: ユキウザギ族の少年。クルコスリクの息子。
ユクサカイ: ハクチョウ族の族長。「決戦のとき」でトラクとレンを〈幽霊山〉の手前まで案内します。

魂食らい

トラクの父: オオカミ族の魔導師。テンリスとは兄弟関係にあります。胸には〈魂食らい〉のしるしを削った跡があります。
テンリス: アザラシ族の魔導師。トラクの伯父。
ネフ: コウモリ族の魔導師。トラクの父に命を救われたことがあります。
セシュル: クサリヘビ族の魔導師。レンの母。
シアジ: オーク族の魔導師。
ナランダー: サケ族の魔導師。現在は〈歩き屋〉として森を放浪しています。
イオストラ: ワシミミズク族の魔導師。

他の種族

シロギツネ族、カワウソ族、サケ族、ヤナギ族、オーロックス族、モリウマ族などが登場します。

書籍情報

日本語訳版は以下の通りです。

オオカミ族の少年（評論社 2005年）
生霊わたり（評論社 2006年）
魂食らい（評論社 2007年）
追放されしもの（評論社 2008年）
復讐の誓い（評論社 2009年）
決戦のとき（評論社 2010年）
魔導師の娘（評論社 2023年）
皮はぎ者（評論社 2024年）

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