クローンは故郷をめざす

作品概要

『クローンは故郷をめざす』は、2009年1月10日に公開された日本のSF映画です。2006年度のサンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞した中嶋莞爾のオリジナル脚本を、本人が監督を務めて映像化しました。

本作は海外でも高く評価されており、ファンタジア国際映画祭で最優秀撮影賞を、ニューヨーク・アジア映画祭で最優秀ビジュアル賞を受賞しています。

あらすじ

近未来の日本を舞台に、発展したクローン技術が物語の核となります。

宇宙飛行士の高原耕平は、船外活動中の事故により命を落とします。法に基づき、彼のクローンが再生されます。しかし、記憶の移植に不完全な部分があり、特に幼少期に双子の弟・昇を失った記憶が強く現れる記憶障害を抱えることとなります。

クローン再生の不備を隠蔽したい研究所の影山所長らは、密かに最初のクローン耕平に安楽死を施す措置を計画します。

病院を逃れ出したクローンは、自身にそっくりな、宇宙服を着用した遺体（あるいは幻影）を発見します。彼はその遺体を亡き弟・昇と思い込み、母のもとへ届けようと故郷を目指しますが、体に施された処置により命を落とします。

影山らは再び耕平をクローンとして蘇らせます。二度目のクローン再生は成功し、記憶障害もなく、元の耕平と同様の状態でした。しかし、生命倫理の観点から、この再生に対して世論からの強い反発が巻き起こります。

そのような状況の中、二度目のクローン耕平は、以前のクローンの行動に導かれるかのように、自身が少年時代を過ごした故郷の家へとたどり着きます。そこで彼は、最初のクローンの遺体と、傍らに置かれた空の宇宙服を発見します。

遺体を丁寧に埋葬した耕平は、オリジナルの耕平の魂とある種の「共鳴」を果たします。そして、その宇宙服を背負い、新たな一歩を踏み出します。

キャスト

高原耕平：及川光博
船外作業中の事故で死亡した宇宙飛行士。そして、クローンとして再生される主人公。
高原洋子：石田えり
耕平の母親。耕平の死とほぼ同時期に亡くなる。
高原時枝：永作博美
耕平の妻。
影山：嶋田久作
クローン再生を研究する研究所の所長。
笹川：矢島健一
宇宙開発協会の職員。
勅使河原：品川徹
かつて違法なクローン技術で孫娘を蘇らせた経験を持つ科学者。
十和田：佐藤貢三
八木橋：平野貴大
高原ミツ：市川千恵子
高原耕平、高原昇（子供時代）：塚本将、塚本僚

スタッフ

監督・脚本：中嶋莞爾
プロデューサー：井上潔、山本理恵、多胡由章
エグゼクティブ・プロデューサー：ヴィム・ヴェンダース
企画プロデューサー：櫻井裕也、植草敏雄
撮影：浦田秀穂
衣装：宮本まさ江
編集：目見田健
音楽：山下雄太
美術デザイン：安宅紀史
VFX：隠田雅浩
スクリプター：長坂由起子
照明：常谷良男
装飾：高木理己
美術監修：木村威夫
録音：臼井勝
助監督：北川博康

関連情報

一般公開に先立ち、本作は第21回東京国際映画祭の「日本映画・ある視点」部門に出品され、2008年10月19日と21日に上映されました。

また、DVDは2010年5月28日に発売されており、通常版に加え、メイキング映像やスタッフ・キャストのインタビューなどを収録した特典ディスク付きのPREMIUM EDITIONもリリースされています。発売元はアグン・インク（発売元代理：インターフィルム）、販売元は角川映画が担当しています。

もう一度検索