木村威夫

木村 威夫（きむら たけお）

木村威夫（1918年4月1日 - 2010年3月21日）は、日本の映画界で著名な美術監督及び監督として知られる人物です。東京の恵比寿に生まれ、長いキャリアを持ち、美術界での重要なポジションを多く担いました。彼は日本映画・テレビ美術監督協会の顧問や日本映像美術協議会のJVA賞の審査委員長、日活芸術学院の学院長、映画美学校の理事、東京工芸大学の客員教授、さらには京都造形芸術大学の映画学科の准教授を歴任しました。

人物背景とキャリアの始まり

木村は若い頃に舞台美術監督の伊藤熹朔のもとで技術を磨き、1941年に日活に入社します。翌年、日活は新興キネマと大都映画と合併し、大映へと変化。彼は1945年に『海の呼ぶ聲』で美術監督に昇進し、その後も数々の作品に関与しました。1954年に映画制作を再開した日活に移籍することになります。

「清順美学」との関わり

1963年には鈴木清順監督が手がけた『悪太郎』の美術を担当。これにより「清順美学」と呼ばれるユニークなスタイルを形作ることに寄与し、大きな人気を博しました。また、1966年には清順を中心とした脚本家グループ「具流八郎」の結成にも関与しました。鈴木の復帰を支援し続けたものの、復活後の彼の作品には忙しさからあまり参加できなくなったことも印象的です。

フリーランスへの転身と独自の道

1972年、日活がロマンポルノ制作にシフトしたことを機に、木村はフリーランスとして活動を開始します。この新たな旅のスタートを飾るのは『忍ぶ川』で、熊井啓監督と共に作品を創り上げました。以降、彼は熊井の作品に次々と関わり、その着目点や美術センスは多くの観客から支持を受けました。

受賞歴と監督としての挑戦

1991年には、『式部物語』がモントリオール世界映画祭で最優秀美術貢献賞を受賞し、1992年には勲四等旭日小綬章を受章しました。彼の美術監督としてのキャリアは輝かしいものであり、映画祭などで数々の評価を得てきました。また、2004年には自身初の監督となる短編映画『夢幻彷徨』を公開し、2008年には長編映画『夢のまにまに』を制作。これにより、90歳での長編映画監督デビューとしてギネス・ワールド・レコーズに登録され話題となりました。

最後の数年と影響力

最後の作品『黄金花』の撮影は2008年に行われ、原田芳雄や松坂慶子など、多くの著名な俳優が参加しました。彼の影響は映画界全体に浸透し、多くの若手監督たちにもその美術的な視点が受け継がれています。木村威夫は、2010年3月21日に間質性肺炎により91歳で逝去しました。彼の後に続く者たちに強い影響を与え続け、日本の映画美術界の重要な存在となりました。彼が残した業績と影響は今後も映画産業において記憶され続けることでしょう。

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