クール・パパ・ベル

クール・パパ・ベル（本名：ジェームズ・トーマス・ベル）は、1903年5月17日にミシシッピ州スタークビルで生まれ、1991年3月7日にミズーリ州セントルイスでその生涯を閉じました。彼はニグロリーグで名を馳せた中堅手で、左投げのスイッチヒッターとして知られています。

ベルは1922年にニグロリーグでプロとしてのキャリアをスタートさせました。当初は投手としてプレーしていましたが、その卓越した俊足が注目を集め、1924年からは外野手に転向。主にセンターを守り、その圧倒的なスピードで観客を魅了しました。セントルイス・スターズに所属していた1929年から1931年にかけては、チームをリーグ3連覇に導く原動力となりました。

その後、デトロイトやカンザスシティなど複数のチームを渡り歩き、1938年から1941年までの間はメキシコリーグでプレー。1942年にはシカゴ・アメリカン・ジャイアンツに加入し、ニグロリーグに復帰しました。この移籍後もチームは1944年までリーグ3連覇を達成し、ベルの存在はチームにとって不可欠なものでした。

ベルは選手としての能力だけでなく、その人柄も多くの人々から愛され、1933年から1944年まで（メキシコリーグ在籍時を除く）毎年、ニグロリーグのオールスター東西対抗戦にファン投票で選出されるほどの人気を博していました。1940年以降は、選手としての活動に加え、チームのマネジメントや若手選手の指導にも尽力し、後に野球殿堂入りを果たすアーニー・バンクスやジャッキー・ロビンソンといった選手たちも、ベルの指導を受けた一人です。ベルは1946年まで選手としてプレーを続け、その後も野球界に貢献しました。

1974年には、ニグロリーグ特別委員会の推薦により、アメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績が正式に認められました。この時、彼は69歳でした。

2002年5月には、セントルイス・カージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムで、ベルの貢献を称える銅像除幕式セレモニーが開催されました。彼の家族や球団関係者が参列し、カージナルスの英雄たちと並んで彼の銅像が設置されました。

ベルの俊足に関する逸話は数多く残っています。ダイヤモンドをわずか12秒で1周したという記録や、タッチアップで二塁から生還したり、犠牲バントで一塁から三塁まで一気に進塁するなど、一度に二つの塁を奪うことも度々ありました。正確な記録は残っていませんが、ニグロリーグでは200試合足らずで175の盗塁を記録したとされています。

「部屋の明かりを消してから、部屋が暗くなるまでの間にベッドに入ることができる」という例えは、彼の驚異的な速さを表現する最も有名な逸話の一つとして知られています。

ベルの残した主な記録としては、生涯通算打率が.337または.341、メジャーリーグとのエキシビションゲームでの打率が.391となっています。また、1999年にはMLBオールセンチュリー・チームにもノミネートされるなど、その功績は多方面から高く評価されています。

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