グアラニー (通貨)

パラグアイの通貨グアラニー：歴史、現状、そして未来

パラグアイの通貨、グアラニーは、同国の先住民族グアラニー族に由来する。スペイン植民地時代からの歴史をたどり、独立後、独自の通貨として歩んできた道のりを紐解きます。

複雑な通貨の歴史

独立以前はスペインレアル、アルゼンチン・レアルが流通していましたが、1845年にパラグアイ独自の通貨として「パラグアイ・レアル」が制定されました。しかし、実際に発行されたのは銅貨のみで、その後1856年には「パラグアイ・ペソ」が導入され、1ペソ＝8レアルの交換比率が適用されました。1870年には十進法が導入され、ペソの補助通貨としてセンティモ（後にセンタボに改称）が登場しました。旧レアル銅貨やレアル建ての低額紙幣は補助通貨として長く使用されました。1944年、100ペソ＝1グアラニーのデノミが行われ、現在に至る通貨単位が定まりました。紙幣の印刷は、1944年までパラグアイ国内の造幣工場で行われていました。

グアラニーの変動レート

他の南米諸国でインフレ対策としてデノミが繰り返される中、パラグアイは1944年以降、同じ通貨単位を使用してきました。しかし、1985年に公定レートが廃止され、変動レート制に移行したことで、グアラニーの対主要通貨の相場は徐々に下落していきました。これに伴い、高額紙幣の追加発行や小額貨幣の廃止、硬貨への置き換えなどが行われています。

紙幣と硬貨

現在、グアラニーの紙幣は2000、5000、10000、20000、50000、100000グアラニーの6種類が流通しています。硬貨は50、100、500、1000グアラニーの4種類です。紙幣はイギリスのデ・ラ・ルー社、2万グアラニー券のみドイツのギーゼッケ・アンド・デブリエント社が印刷を担当しており、ブラジルを経由してパラグアイ中央銀行に輸送されます。2006年にはブラジルで5万グアラニー券約25万枚が強奪される事件も発生しました。

インフレと経済

近隣諸国がインフレに苦しむ中、パラグアイは1970年代には一定の成果を上げていました。しかし、1980年代には30%前後の高インフレが続き、経済に綻びが見え始めました。1990年代以降はインフレは沈静化しましたが、景気の低迷や貧困拡大などの課題が残っています。

デノミ計画とその撤回

2009年、パラグアイ中央銀行は独立200周年記念事業として、2011年を目処にデノミを行う計画を発表しました。1000分の1のデノミで「新グアラニー」を導入する計画でしたが、2011年に計画は撤回され、現在も従来のグアラニーが流通しています。この計画では、新旧通貨の交換比率は1新グアラニー＝1000旧グアラニー、補助通貨単位「センティモ」の復活などが盛り込まれていました。仮に計画が実行されていれば、グアラニーの価値は大きく回復する予定でした。

グアラニーの未来

グアラニーは、長年にわたる歴史の中で様々な変化を経験してきました。今後の経済状況や国際情勢の変化によって、さらなる改革や変動が予想されます。パラグアイ経済の持続的な発展のためには、インフレ抑制や貧困問題の解決、安定した通貨システムの維持が不可欠と言えるでしょう。

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