グスタフ・アドルフ・シェール

グスタフ・アドルフ・シェールは、1907年11月22日にドイツ帝国バーデン大公国のローゼンベルクで、福音派の牧師ヴィルヘルム・シェールの子として生まれました。彼は当初、牧師を目指し、ハイデルベルク大学で法学、国民経済学、神学を学びました。しかし、その後の人生はナチス運動と深く結びつくことになります。

1929年、シェールは国家社会主義ドイツ学生同盟（NSDStB）に参加し、政治活動に身を投じ始めました。翌1930年には突撃隊（SA）に入隊し、同年12月にはナチ党に入党（党員番号391,271）します。同時期にテュービンゲン大学で医学を学び始め、1931年にはNSDStBの大学グループ指導者となりました。1934年にはNSDStBの指導者に昇格し、医学博士号を取得しました。

シェールは1934年に突撃隊少尉となり、その後親衛隊（SS）に移籍（隊員番号107,189）しました。親衛隊保安部（SD）に勤務し、1935年から1939年までシュトゥットガルトに本部を置く南西SD管区指導者を務めました。親衛隊での昇進も早く、1935年4月に親衛隊中尉、1936年4月には親衛隊少佐となっています。1936年11月にはルドルフ・ヘスによって全国学生指導者に任命されました。

1937年1月には親衛隊大佐に昇進し、1937年から1939年までシュトゥットガルトの保安警察及びSD監察官（IdS）を兼務しました。1938年4月には親衛隊上級大佐に昇進し、同年11月には国会議員にも選出されました。1940年には副従軍医師として兵役に就き、8月にはストラスブールの保安警察及びSD司令官（BdS）に任命されました。1941年4月には「アルペンラント」親衛隊及び警察指導者となり、同時に親衛隊上級地区指導者を務めました。

1941年4月には親衛隊少将および警察少将に昇進し、同年11月にはザルツブルク帝国大管区指導者、さらにはザルツブルクの国家代理官（Reichsstatthalter）に任命されました。1942年には親衛隊中将および警察中将に昇進し、ザルツブルクの国家防衛委員（Reichsverteidigungskommissar）にも任命されました。1944年6月には、全国大学教員指導者（Nationalsozialistischer Deutscher Dozentenbund）となり、8月には親衛隊大将及び警察大将に昇進しました。9月には国民[[突撃隊]]ザルツブルク大管区指導者に任命されました。

第二次世界大戦末期の1945年、アドルフ・ヒトラーの遺書によって、シェールは科学・教育・国民文化大臣に任命されます。しかし、その直後の5月にはアメリカ軍に逮捕され、1948年の非ナチ化裁判で強制労働収容所での懲役5年の判決を受けました。1948年末に釈放された後は、ハンブルクの病院で医者として勤務します。1951年から1953年にかけては、ナウマンサークル（Naumann-Kreis）という秘密組織に関与した容疑で逮捕されるなど、戦後も政治的な活動を続けました。

1954年2月からはハンブルクで開業医となり、1979年3月23日に同地で亡くなりました。シェールの生涯は、ナチス政権の中枢で活動した人物の典型的な軌跡を示しており、その活動は第二次世界大戦とその後のドイツ社会に深い影響を与えました。


参考資料:
ヘンリク・エーベルレ、マティアス・ウール編、高木玲訳『ヒトラー・コード』（講談社）ISBN 4-06-213266-4
Mark C. Yerger, Allgemeine-SS, Schiffer Pub Ltd. ISBN 978-0764301452

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