親衛隊大将(SS-Obergruppenführer)とは
親衛隊
大将(SS-Obergruppenführer)は、ナチス・ドイツにおける親衛隊(SS)の階級の一つで、「上級集団指導者」を意味します。この階級はSSのみならず、
突撃隊(SA)、
国家社会主義自動車軍団(NSKK)、
国家社会主義航空軍団(NSFK)といった他のナチ党組織にも存在しました。
各組織における大将の比較
「Obergruppenführer」は、国防軍における
大将(General)に相当する地位であり、それぞれの組織において「SS
大将」「SA
大将」「NSKK
大将」「NSFK
大将」と訳されます。米英では原文のまま使用されることが多いですが、
陸軍の階級呼称を用いて「SS General」のように訳されることもあります。
親衛隊(SS)における大将
親衛隊
大将は、
一般親衛隊において
親衛隊中将(SS-Gruppenführer)の上位、親衛隊上級
大将(SS-Oberstgruppenführer)の下位に位置します。一方、
武装親衛隊では
ドイツ国防軍と同様に
武装親衛隊大将(General der Waffen-SS)の位が用いられました。ただし、
武装親衛隊大将には
一般親衛隊の親衛隊
大将の階級も合わせて授与されるのが一般的でした。
一般親衛隊の親衛隊
大将が必ずしも
武装親衛隊大将位を所持していたわけではなく、
武装親衛隊との関係が認められる者に限って授与されていたようです。また、警察業務にあたる
一般親衛隊大将は、警察
大将(General der Polizei)の階級を同時に所持していることが多く、これら3つの階級を併せて所持する者も少なくありませんでした。これらの階級の境界は曖昧であり、複雑な関係性を示しています。
以下に主なSS
大将の例を挙げます。
ルドルフ・ヘス(1933年4月21日):名誉SS大将、副総統、ナチ党党首代理
フランツ・クサーヴァー・シュヴァルツ(1933年7月1日):名誉SS
大将、後にSS上級
大将、ナチ党財政全国指導者
ヨーゼフ・ディートリヒ(1934年7月1日):武装SS将軍、第1SS装甲師団師団長、後にSS上級大将
クルト・ダリューゲ(1934年9月9日):
秩序警察長官、後にSS上級
大将
フリッツ・ヴァイツェル(1934年9月9日):ノルウェーHSSPF
リヒャルト・ヴァルター・ダレ(1934年11月9日):名誉SS
大将、食糧大臣
ヴァルター・ブーフ(1934年11月9日):名誉SS大将、党最高裁判所長官
このリストは一部であり、他にも多くがいます。
突撃隊大将(SA-Obergruppenführer)は、突撃隊(SA)における階級であり、突撃隊中将(SA-Gruppenführer)の上位、突撃隊幕僚長(Stabschef SA)の下位に位置します。
ジークフリート・ウイバーライター(シュタイアーマルク帝国
大管区指導者)
フランツ・フォン・エップ(ナチス党国防政策全国指導者)
ジークフリート・カッシェ(
クロアチア独立国駐在のドイツ大使)
国家社会主義自動車軍団大将(NSKK-Obergruppenführer)は、
国家社会主義自動車軍団(NSKK)における階級です。
国家社会主義自動車軍団中将(NSKK-Gruppenführer)の上位、
国家社会主義自動車軍団軍団指導者(NSKK-Korpsführer)の下位に位置します。
主なNSKK大将
カール・エドゥアルト(ザクセン=コーブルク=ゴータ公。ドイツ赤十字社総裁)
アルトゥール・グライザー(ヴァルテラント
大管区指導者)
グスタフ・ジーモン(コブレンツ・トリーア大管区指導者)
国家社会主義航空軍団大将(NSFK-Obergruppenführer)は、国家社会主義航空軍団(NSFK)における階級です。国家社会主義航空軍団中将(NSFK-Gruppenführer)の上位、国家社会主義航空軍団軍団指導者(NSFK-Korpsführer)の下位に位置します。
主なNSFK大将
カール・エドゥアルト(ザクセン=コーブルク=ゴータ公。
ドイツ赤十字社総裁)
ブルーノ・レールツァー(ドイツ空軍上級大将)
まとめ
親衛隊大将(SS-Obergruppenführer)は、ナチス・ドイツにおける権力構造の中で重要な役割を果たした階級であり、SSのみならず、SA、NSKK、NSFKといった関連組織にも同様の階級が存在しました。各組織における大将の役割と地位を理解することは、ナチス・ドイツの全体像を把握する上で不可欠と言えるでしょう。
関連項目
親衛隊 (ナチス)
親衛隊階級
大将
* Category:親衛隊将軍