グッドウッド・サーキット

グッドウッド・サーキット：英国モータースポーツの聖地

イングランド南部、チチェスター郊外のグッドウッド・ハウス敷地内に位置するグッドウッド・サーキットは、世界的に知られた歴史的モータースポーツ施設です。第二次世界大戦中に建設されたこのサーキットは、1948年から1966年にかけて、数々の伝説的なレースが開催され、モータースポーツ史に名を刻んできました。

グッドウッド・サーキットの栄光の歴史

元々は、タングミア空軍基地の予備飛行場として使われていたウェストハムネット空軍基地の境界線道路として建設されたグッドウッド・サーキット。1948年9月、最初のレースが開催されると、スターリング・モスを始めとする名だたるドライバーたちがその名を馳せました。500ccクラス(後のフォーミュラ3)でスターリング・モスが優勝、エリック・ブランドンとカーリー・ドライデンが続くという華々しいデビューを飾りました。

その後、このサーキットは数多くの名ドライバーを輩出しました。マイク・ホーソーンやグラハム・ヒルといったレジェンドたちは、ここでシングルシートカーでの最初のレースを経験し、モータースポーツキャリアの礎を築きました。ロジャー・ペンスキー、ジム・クラーク、ジャック・シアーズといったスタードライバーもグッドウッドでその技を競いました。しかし、サーキットの歴史には、悲劇も刻まれています。スターリング・モスはセント・メアリズ・コーナーでの事故で重傷を負い、国際的な活躍に終止符を打つことになり、マクラーレン創設者ブルース・マクラーレンも1970年にテスト走行中の事故で命を落としました。

1950年代後半から1960年代前半にかけては、9時間耐久レースが開催され、サーキットの人気を不動のものにしました。現在でも、グッドウッド・リバイバルにおいて、当時の車両による耐久レース「サセックス・トロフィー」や「ロイヤル・オートモービル・クラブ・ツーリスト・トロフィー(RAC TT)」が開催され、往時の熱気を再現しています。

1966年を最後に、30年以上に渡りレース開催が中断されました。現代のレーシングカーのスピードに対応するためのコース改修にオーナーたちが難色を示したためです。しかし、1998年、ヒルクライムイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の成功を背景にレースが復活。以来、グッドウッド・サーキットは英国を代表する歴史的モータースポーツイベントの開催地として、その地位を確固たるものにしました。現在では、クラシックカーレースの他、トラック・デイやトライアウト・デイなど、様々なイベントが開催されています。

グッドウッド・サーキットを彩る主要イベント

グッドウッド・サーキットを語る上で外せないのが、2つの主要イベントです。

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード: 毎年6月下旬から7月にかけて開催されるヒルクライムイベント。歴史的なレーシングカーが競い合い、10万人以上の観客を集める人気イベントです。
グッドウッド・リバイバル: 9月に3日間開催されるクラシックカーとバイクのイベント。1948年から1966年にかけて活躍した車両が集結し、往年の雰囲気を再現。隣接するチチェスター・グッドウッド空港には、歴史的な航空機も展示され、当時の時代背景を体感できます。

また、2009年からは、チャリティ資金集めのカーラリー「モンゴル・ラリー」の出発地にもなっています。参加車両はサーキットをパレード走行した後、モンゴルを目指して出発します。

グッドウッド・サーキットは、単なるレース場ではありません。英国モータースポーツの歴史と文化が凝縮された、まさに聖地と言える場所です。今後も、モータースポーツファンを魅了し続けることでしょう。

もう一度検索