グッドナイト・トゥナイト

「グッドナイト・トゥナイト」（Goodnight Tonight）は、イギリスのミュージシャン、ポール・マッカートニー率いるバンド、ポール・マッカートニー&ウイングスが1979年に発表した楽曲です。この曲は単独シングルとしてリリースされ、ウイングスの後期における重要な一曲として知られています。

このシングルは、ギタリストのローレンス・ジュバーとドラマーのスティーヴ・ホリーがバンドに正式加入して以降、初めて世に出された楽曲となりました。彼らの参加は、バンドの音楽性に新たな要素をもたらすきっかけとなります。

楽曲のサウンド面における最大の特徴は、当時の世界的な音楽トレンドであったディスコ・ミュージックの影響を強く受けている点です。マッカートニー自身がこのジャンルに関心を寄せ、ダンスフロア向けのグルーヴを取り入れることを試みた結果として生まれました。この試みは商業的な成功を収め、幅広いリスナーに受け入れられることとなります。

商業的な成功は、主要な音楽チャートの記録に明確に表れています。アメリカの著名な音楽雑誌であるビルボード誌の週間シングル・ランキングでは、1979年5月19日付で最高位となる第5位を獲得しました。さらに、同誌の1979年の年間ランキングでは第47位にランクインしています。また、キャッシュボックス誌の週間ランキングでも、同じく5月19日付で最高位の第4位を記録し、こちらの年間ランキングでは第53位に入りました。両誌でトップ5入り、年間ランキングでも上位に食い込むという成績は、楽曲の当時の人気を物語っています。

シングルのリリースに際しては、標準的な7インチ・シングルの他に、ディスコ・ミュージックの文脈でしばしば用いられる12インチ・シングルも発売されました。この12インチ盤には、7インチ盤には収録されていない楽曲のロング・ヴァージョンが収められており、よりダンス志向の強いリスナーに向けた配慮がなされていました。

この楽曲の興味深い点の一つは、1979年6月にリリースされたウイングスのオリジナル・スタジオ・アルバム『バック・トゥ・ジ・エッグ』（Back to the Egg）には収録されなかったことです。しかし、その後のベスト・アルバムや編集盤において、楽曲の重要性が再認識され、度々収録されることとなります。具体的には、アメリカ盤のベスト・アルバム『オール・ザ・ベスト』（All the Best!）、同じくベスト盤である『ウィングスパン』（Wingspan: Hits and History）、そしてポール・マッカートニーのソロ作品『マッカートニーII』（McCartney II）の1993年リマスター盤などに収められています。

シングルのB面には「デイタイム・ナイトタイム・サファリング」（Daytime Nightime Suffering）という楽曲が収録されていました。このB面曲は、『バック・トゥ・ジ・エッグ』のCDが後年再発売された際に、ボーナス・トラックとして追加収録されています。

楽曲の制作クレジットを見ると、ポール・マッカートニーが非常に多くのパートを担当していることがわかります。彼はリード・ボーカルとバッキング・ボーカルを務めたほか、ベース、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、シンセサイザー、ドラムス、タンバリン、パーカッション、さらにはボコーダーといった多岐にわたる楽器演奏やサウンドメイクを行っています。リンダ・マッカートニーとデニー・レインはバッキング・ボーカルを担当し、デニー・レインはエレクトリック・ギターも演奏しました。新加入のローレンス・ジュバーはバッキング・ボーカル、アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、スティーブ・ホリーもバッキング・ボーカルに加え、クレイ・ハンド・ドラムスやパーカッションといったリズム楽器を担当しています。このように、ポール・マッカートニーを中心としながらも、各メンバーがそれぞれの役割を果たすことで、この楽曲が完成されました。

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