グッド・ヴァイブレーション

グッド・ヴァイブレーション (Good Vibrations)

ザ・ビーチ・ボーイズが1966年に発表したシングル「グッド・ヴァイブレーション」は、バンド最大のヒット曲の一つであり、音楽史に残る名曲として知られています。ローリング・ストーン誌の「オールタイム・グレイテスト・ソング500」では、2010年版で6位にランクインするなど、高い評価を受けています。

制作の背景

この楽曲は、アルバム『[ペット・サウンズ]]』(1966年)のレコーディング・セッション中に制作が開始されました。1966年2月18日には最初のレコーディングが行われ、ラリー・ネクテル]や[ハル・ブレイン]といったスタジオ・ミュージシャンが参加しています。しかし、[[ブライアン・ウィルソンの意向により、『ペット・サウンズ』には収録されず、その後、複数のスタジオでレコーディングが繰り返されました。最終的に90時間にも及ぶテープを編集し、3分半のマスター・テープが完成しました。

マイク・ラヴは、「2秒から5秒くらいの短いパートを、25回から30回もボーカル・ダビングした」と当時の様子を回想しています。ブライアン・ウィルソンは当初、リード・ボーカルを担当していましたが、最終的にはカール・ウィルソンがリード・ボーカルを務める形でリリースされました。

楽曲の特徴

レコーディングの初期段階からテルミンが使用され、その後、マイク・ラヴによる低音域のコーラスや、チェロによる三連符のリズムなどが加えられました。歌詞も大幅に変更されています。ブライアン・ウィルソンは、この曲を「ポケット・シンフォニー」と呼んでいました。

リリースと評価

1966年10月、「グッド・ヴァイブレーション」は、『ペット・サウンズ』収録のインストゥルメンタル「少しの間」をB面に収録したシングルとしてリリースされました。アメリカでは、発売から4日間で29万枚以上を売り上げ、全米1位を獲得し、最終的にはゴールド・ディスクに認定されました。イギリスでも、ビーチ・ボーイズとして初めて全英シングル・チャート1位を獲得する快挙を達成しました。

その後

「グッド・ヴァイブレーション」の成功後、『スマイル』の制作が難航し、最終的に発売中止となりました。そのため、次のシングル「英雄と悪漢」は、「グッド・ヴァイブレーション」から9か月遅れての発売となりました。「グッド・ヴァイブレーション」は、『スマイル』に使用予定だった音源の断片を集めたアルバム『スマイリー・スマイル』(1967年)に収録されることになりました。

リアル・ステレオ・バージョンは、2012年に『スマイリー・スマイル』がモノ&ステレオの2 in 1で発売された際も、ボーカルと各楽器を左右に振り分けた疑似ステレオ・バージョンが収録されました。ボーカル・トラックのみのマスター・テープが行方不明になっていることが理由です。ただし、バッキング・トラックのマルチトラック・テープは現存しており、シングルのCD化の際には、リアル・ステレオ・バージョンのカラオケとして収録されています。

別バージョン

1990年に発売された『スマイリー・スマイル』と『ワイルド・ハニー』の2 in 1再発CDには、「グッド・ヴァイブレーション」の別バージョン2曲がボーナス・トラックとして収録されました。「ヴァリアス・セッションズ」は、様々なレコーディング・セッションからの音源を編集したもので、「アーリー・テイク」は、シングルおよび『スマイリー・スマイル』で発表されたものとは歌詞が大きく異なっています。

ブライアン・ウィルソンは、後にソロ名義で『スマイル』を再録し、2004年に発表しました。同作に収録された「グッド・ヴァイブレーション」のセルフ・カバーは、「アーリー・テイク」に近い歌詞で歌われ、『ペット・サウンズ』でブライアンと共同作業を行ったトニー・アッシャーがソングライターとしてクレジットされています。2011年に発表された『スマイル・セッションズ』のディスク1では、ブライアン版にほぼ即した形での編集となっていますが、歌詞およびボーカルはオリジナルのままとなっています。また、同作コレクターズ・ボックスのディスク5は、本曲のセッションのみで構成されています。

カバー

トッド・ラングレン - 『誓いの明日』(1976年)
サイキックTV - 『The Magickal Mystery D Tour EP』(1986年)
ニナ・ハーゲン - 『ストリート』(1991年)
Mi-Ke - 『太陽の下のサーフィン・JAPAN』(1992年)
* 槇原敬之 with 高野寛 - トリビュート・アルバム『THE BEACH BOYS BEST of TRIBUTE』(2004年)

その他

日本では、NTTサンクスフェアのコマーシャル・ソングに使用されました。

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