グラフィソフト

グラフィソフトは、1982年にハンガリーのブダペストで設立された、建築CADソフトウェアの開発・販売を専門とする企業です。設立当初から、革新的な技術とデザインへの強いこだわりを持ち、建築業界におけるデジタル化の推進に大きく貢献してきました。

特に、グラフィソフトが開発した「ArchiCAD」は、3Dモデルベースの設計を可能にし、バーチャルビルディングという概念を早くから提唱していました。このアプローチは、後にBIM（ビルディングインフォメーションモデリング）として広く知られるようになり、グラフィソフトはBIMのパイオニアとしての地位を確立しました。BIMは、設計から施工、維持管理に至るまで、建築プロジェクトのライフサイクル全体をデジタルで管理する手法であり、効率化と精度の向上に不可欠なツールとなっています。

グラフィソフトは、製品開発だけでなく、販売戦略においても独自の道を歩んできました。創業初期からAppleとの協力関係を築き、その技術力と革新性を広くアピールしてきました。スティーブ・ジョブズ氏が亡くなった際には、その功績を称え、ハンガリーの彫刻家Erno Toth氏によって制作されたジョブズ氏の銅像が、本社グラフィソフトパークに建立されました。この銅像は、両社の深いつながりを象徴するものとして、今も多くの人々に親しまれています。

また、グラフィソフトは、日本市場にも積極的に展開しており、1994年にはグラフィソフトジャパン株式会社が東京に設立されました。これにより、日本の建築業界に、より高度で専門的なソリューションを提供することが可能になりました。

グラフィソフトの代表的な製品としては、以下のようなものがあります。

ArchiCAD: 建築設計のための統合ソフトウェアであり、BIMの中核となるツールです。3Dモデルの作成、設計図書の生成、プロジェクトのコラボレーションなどを効率的に行うことができます。
Solibri: BIMモデルの品質管理と検証を行うためのソフトウェアです。モデルの整合性、エラーの検出、法規遵守の確認などを支援し、高品質な建築プロジェクトの実現に貢献します。
* Artlantis: 高品質なレンダリングとアニメーションを作成するためのソフトウェアです。設計された3Dモデルをリアルなイメージに変換し、プレゼンテーションやマーケティング活動に活用できます。

グラフィソフトは、これらの製品を通じて、建築業界全体の生産性と創造性の向上に貢献しています。技術革新への絶え間ない追求と顧客ニーズへの丁寧な対応が、グラフィソフトを世界的なリーディングカンパニーへと押し上げています。

関連する企業や団体としては、IAI日本が挙げられます。IAI日本は、建築業界における情報標準化を推進する団体であり、グラフィソフトを含む多くの企業がその活動に参加しています。

グラフィソフトは、今後も建築業界のデジタル化をリードし、より高度で持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。

もう一度検索