ArchiCAD

Archicad（アーキキャド）とは

Archicadは、ハンガリーのグラフィソフト社によって開発された、建築設計向けのCADソフトウェアです。1982年に開発が始まり、当初はApple Macintosh向けに開発された、パーソナルコンピュータ上で2Dと3Dの図面作成が可能な初期のCADソフトウェアの一つとして知られています。現在では、世界中の建築設計業界で10万人以上のユーザーに利用されています。

日本では1994年から導入されましたが、当時は「GRAPHISOFT」という商品名で販売されていました。2000年に自社商標として取得し、「Archicad」に名称が統一されました。2014年頃には、ソフトウェアのブランドイメージを刷新し、「CAD」部分が小文字の「cad」に変更されました。

特徴

Archicadは、「スマートオブジェクト」と呼ばれる、豊富なデータを持つパラメトリックオブジェクトを基本としています。これにより、壁、スラブ、屋根、ドア、窓、家具などの仮想的な建築要素を「バーチャルビルディング」として作成できます。ユーザーは、カスタマイズ可能な既存のオブジェクトを「ライブラリ」から選択して利用できます。

2次元と3次元の両方の画面で作業できる点が特徴です。プログラムのデータベースには常に3次元の情報が保持され、必要な時に2次元の図面を出力できます。平面図、立面図、断面図は3次元モデルから生成され、常に最新の状態に保たれます。詳細図では、モデルの一部を拡大し、2次元の詳細を書き込むことも可能です。

外部の開発会社や建設製品メーカーからも、Archicad用の建築向けライブラリが提供されています。また、ユーザー自身で新しいライブラリを作成するためのGDL（幾何図形定義言語）と呼ばれる機能も搭載されています。

Archicadは、DWG、DXF、IFC、SketchUpファイルなどの入出力に対応しています。ただし、Archicadで出力したファイル形式は、各形式のネイティブアプリケーションでの表示や機能が制限される場合があります。グラフィソフト社は、建築CADのファイルおよびデータの相互運用を目的とした法人組織であるInternational Alliance for Interoperability (IAI) のメンバーでもあります。

レンダリング

Archicad 18以降では、レンダラーとしてCinema 4Dで使用されているCineRenderが搭載されており、標準でリアルなレンダリングが可能です。それ以前のバージョンでは、ArtlantisやMaxwell Renderといったサードパーティ製のレンダラーがよく利用されていました。

チームワーク

Archicad 13で導入された新しいチームワーク機能は、共同プロジェクトにおける作業方法を大きく変革しました。クライアント/サーバーアーキテクチャをベースにしたこの機能は、高い柔軟性、速度、およびデータ保護を実現し、国際的なチームでも大規模なプロジェクトを共同で進めることが可能です。

BIMサーバー

グラフィソフトBIMサーバーは、Archicad 13で導入された新しいチームワーク機能をサポートするために必要なアプリケーションです。この機能は、複数のクライアントからの同時アクセスを可能にするクライアントサーバーテクノロジーを基盤としています。BIMサーバーは、複数のArchicadクライアントからネットワークを介して接続されます。

リリース履歴

Archicadは、1987年のArchicad 3.1（日本未発売）から始まり、Archicad 28（2024年）まで、数多くのバージョンがリリースされています。日本での初期のバージョンは「GRAPHISOFT」という名称で販売されていました。

ファイル形式

Archicadは、多数のファイル形式の入出力に対応しています。代表的なものとしては、PLN、PLA、[DXF]]、DWG、JWC、JWW、DGN、IFC2x3、3ds Max]、U3D(u3d)、[VRML、3DMF、[[SketchUp]、[Google Earth](kmz)、ADS(cw2)、GDL、WavveFront(obj)、[BE-Bridge]などがあります。