グラブ (企業)

Grab（グラブ）とは

Grab Holdings Inc.は、シンガポールを拠点とする配車アプリ運営企業です。東南アジアを中心に、自家用車、オートバイ、相乗り、配送、決済など、幅広いサービスを提供しています。その事業は、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアといった国々に展開されており、各国の交通インフラや人々の生活に深く浸透しています。

創業と成長

Grabの創業者であるアンソニー・タンは、マレーシアの実業家一族の出身です。ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得中に、現地のタクシー事情の悪さを知ったことが、事業を始めるきっかけとなりました。同窓生のタン・ホイ・リンとともに、タクシー配車サービスのアイデアを練り、ビジネスコンテストで入賞しました。

当初は「MyTeksi」という名前でマレーシアでサービスを開始しましたが、その後、拠点をシンガポールに移し、東南アジア全体への進出を加速させました。ソフトバンクからの巨額の出資を受け、急成長を遂げました。また、ソフトバンクからグラブに移籍したミン・マー社長の存在も、グラブの成長に大きく貢献しました。

多様なサービス展開

Grabは、単なる配車アプリにとどまらず、多岐にわたるサービスを提供しています。

GrabCar: 自家用車を使った配車サービス。
GrabBike: オートバイを使った配車サービス。
GrabHitch: 相乗りサービス。
GrabExpress: 配送サービス。
GrabPay: 決済サービス。

これらのサービスは、都市部の移動手段の確保だけでなく、地域の物流や金融インフラを支える役割も果たしています。

Grabの沿革

以下に、Grabの主な沿革をまとめます。

2012年6月: マレーシアのクアラルンプールでMyTeksiサービスを開始。
2013年8月: フィリピンのマニラでGrabTaxiサービスを開始。
2013年10月: シンガポールとタイのバンコクでGrabTaxiサービスを開始。
2014年2月: ベトナムのホーチミンでGrabTaxiサービスを開始。
2014年4月: シリーズAで1,000万ドルを調達。
2014年5月: シリーズBで1,500万ドルを調達。
2014年5月: クアラルンプールで自家用車向けシェアライドサービスGrabCarを開始。
2014年6月: インドネシアのジャカルタでGrabTaxiサービスを開始。
2014年10月: シリーズCで6,500万ドルを調達。
2014年11月: ホーチミンでオートバイ向けシェアライドサービスGrabBikeを開始。
2014年12月: シリーズDでソフトバンクグループから2億5,000万ドルを調達。
2015年2月: マニラで高級車・高評価運転手向けシェアライドサービスGrabCar+を開始。
2015年5月: ジャカルタでGrabBikeサービスを開始。
2015年8月: バンコクでGrabBikeサービスを開始。
2015年8月: シリーズEで3億5,000万ドルを調達。
2015年11月: シンガポールで相乗りサービスGrabHitchサービスを開始。
2015年12月: ベトナムのハノイ、ダナン、ホーチミンなどでGrabTaxiサービスを開始。
2016年1月: MyTeksiとその他の地域のGrab Taxiを合併し、社名およびブランドを「Grab」に統一。
2016年3月: GrabCarとGrabBike向けに運転手と乗客に無料傷害保険を自動付帯。
2016年9月: シリーズFでソフトバンクから7億5,000万ドルを調達。
2016年10月: ソフトバンク投資部門のMing Maaを社長に迎え入れる。
2016年10月: ドライバーと乗客のインスタントメッセージサービスGrabChatを開始。
2016年12月: シンガポールでタクシーと相乗りを融合したGrabShareを導入。
2016年12月: 本田技研工業から出資を受ける。
2017年2月: シンガポールで大型乗用車の予約サービスGrabCoachを開始。
2017年3月: 子供向けチャイルドシート付き車両を手配するGrabFamilyを開始。
2017年3月: 需要に応じて料金が変動する動的料金設定サービスJustGrabを開始。
2017年4月: ネット決済のKudoを買収。
2017年7月: シリーズGで25億ドルを調達。
2017年7月: ミャンマーのヤンゴンでサービス提供を開始。
2017年8月: ホーチミンでGrabCar+サービスを開始。
2017年8月: 豊田通商から出資を受けトヨタ自動車と協業を開始。
2017年11月: シンガポールでGrabPayの店舗決済サービス導入。
2017年12月: カンボジアでサービス提供を開始。
2018年1月: NFC決済のiKaazを買収しGrabPayを機能強化。
2018年1月: シンガポールで完全自動運転車を使った無人タクシーの商用化を発表。
2018年2月: 企業向けに従業員の交通費を管理するGrab for Businessを開始。
2018年2月: プノンペンでGrabBikeサービスを開始。
2018年3月: Uberの東南アジア事業をGrabが買収。
2020年2月: 三菱UFJフィナンシャル・グループから7億600万ドルを調達。

上場

2021年12月2日、Grabは米NASDAQ市場に上場し、新たな成長段階に入りました。

今後の展望

Grabは、モビリティサービスにとどまらず、金融サービス、食品デリバリー、その他さまざまな分野に進出しており、東南アジア地域における総合的なプラットフォームとしての地位を確立しつつあります。今後のさらなる成長と革新が期待されています。

関連項目

タクシー
Uber
滴滴出行
ANIテクノロジーズ

外部リンク

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