グランドケイマン

グランドケイマン島は、カリブ海に位置するイギリス海外領土、ケイマン諸島の中で最も大きく、政治・経済の中心地である首都ジョージタウンが置かれています。その面積はおよそ197平方キロメートルに及びます。この島は、開発が進んだエリアと手つかずの自然が息づくエリアが隣り合い、多様な魅力を持っています。

地理と観光

島の西側、オーエン・ロバーツ国際空港や主要な港湾施設がある地域は、リゾート開発が進み、活気あふれる街や美しいビーチが広がっています。中でも特筆すべきは、白砂が延々と続くセブンマイルビーチと、のんびりとした雰囲気が魅力のラム・ポイントです。また、このエリアには、ケイマン・タートルセンター（かつてのタートル・ファーム）があり、海亀の生態を学ぶことができます。さらに、「ヘル」と呼ばれる地域には、独特の黒い石灰岩層が広がり、その異様な景観から「地獄」と名付けられました。

一方、島の東側は、あまり開発されておらず、豊かな自然がそのまま残されています。ここでは、ケイマン諸島国立トラストが管理するクイーン・エリザベス２世ボタニカル・パークで熱帯植物を観察したり、マスティック・トレイルを散策して亜熱帯の森林を体験したりするなど、島の自然を満喫できます。

歴史 - 発見と命名

グランドケイマン島は、1503年に探検家クリストファー・コロンブスによって発見されました。彼は島に多数生息していた海亀を見て、スペイン語で海亀を意味する「ラス・トルトゥガス（Las Tortugas）」と名付けました。しかし、発見当時、アメリカワニも多く見られたことから、1530年頃には先住民カリブ族の言葉でワニを指す「ケイマナス（Caymanas）」と呼ばれるようになりました。この「ケイマナス」が、現在の「ケイマン」という名の語源となっています。その後、1580年には海賊フランシス・ドレークもこの島を訪れています。

歴史 - 入植と発展

1655年、イギリス海軍のオリバー・クロムウェル指揮下の兵士や、難破船の乗組員がグランドケイマン島に入植を開始しました。そして1670年には、ジャマイカ領の一部としてイギリスの植民地となりました。1773年頃には、イギリス海軍の測量士ジョージ・ゴールドが沿岸調査のために島を訪れました。当時、島の南部に位置するサウスサイドという地域に、島の総人口のおよそ半分にあたる400人ほどが暮らしており、ボーデンタウンが島の中心地となっていました。ボーデンタウンは、1655年に上陸した最初の入植者の一人、ウィリアム・ボーデンに由来すると考えられています。ゴールドが調査中に会ったアイザック・ボーデンは、島で最初に生まれた人物であり、初期入植者ウィリアム・ボーデンの直系の孫でした。

歴史 - ペドロ・セントジェームズ・キャッスル

1780年には、ウィリアム・ボーデンによってペドロ・セントジェームズ・キャッスルが建設されました。これは元々、黒人奴隷を使ったプランテーション経営のための住宅でしたが、大砲なども備えられ、島の入植地を海賊や敵対するスペイン軍の攻撃から守る要塞としての機能も果たしていました。さらに、この建物は後にケイマン諸島で初めて選挙などの集会が開かれた歴史的な場所としても知られています。現在、ペドロ・セントジェームズ・キャッスルは博物館として公開されており、島の歴史や建物の物語を伝える展示のほか、ギフトショップやカフェも併設されています。

歴史 - 近現代

20世紀の初め頃には、島の中心機能はボーデンタウンから現在の首都ジョージタウンへと移されました。1962年にジャマイカがイギリスから独立した際、グランドケイマン島は、ケイマンブラック島、リトルケイマン島と共に、そのままイギリス領にとどまることを選択しました。現在、グランドケイマン島はカリブ海有数の金融センターであると同時に、美しい自然と歴史が融合した観光地として世界中から人々を惹きつけています。

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