グランドパレード

グランドパレード：ダービー制覇の物語

グランドパレード (Grand Parade, 1916年 - 1932年) は、アイルランドで生まれ、イギリスで競走生活を送ったサラブレッド競走馬です。1919年のダービー優勝という輝かしい実績を残し、種牡馬としても成功を収めた、20世紀初頭の競馬史に名を刻む名馬でした。

生い立ちと初期の競走生活

アメリカ人政治家Richard Crokerによって生産されたグランドパレードは、海運王Lord Glanelyに470ギニーで売却されました。3歳シーズンには、サフォーク州ニューマーケットにあるLord Glanelyの私設調教師Frank Barlingの下で調教を受けました。

父は1907年にダービーを制したアイルランド調教馬Orbyで、成功した種牡馬としても知られています。一方、母Grand Geraldineは元荷馬車馬で、競走成績は乏しいものでした。この血統背景から、グランドパレードの競走馬としての成功は、決して予測されたものではありませんでした。

2歳時の1918年は、ニューマーケット競馬場でのFitzwilliam Stakesを皮切りに、輝かしいスタートを切ります。その後も勝利を重ね、Anglesey Stakesやナショナルプロデュースステークスを制覇するなど、アイルランドを代表する2歳馬としてその名を轟かせました。イギリスに戻った後も、いくつかのレースに出走し、経験を積んでいきました。

ダービー制覇への道

3歳となった1919年、グランドパレードはダービーへの挑戦を控え、期待が高まっていました。しかし、ダービー直前にかかとを負傷するというアクシデントに見舞われ、出走さえ危ぶまれました。

オッズは当初100/12と高かったものの、負傷の影響で33/1まで急落。騎手はFred Templemanが務めることとなり、2000ギニー優勝馬The Pantherなど、強豪を相手にダービーに臨みました。

第一次世界大戦後初めてエプソム競馬場で開催されたダービーは、戦後初の開催ということもあり、多くの観客が詰めかけました。悪天候の中、グランドパレードは序盤から好位置をキープ。最後の直線で競り合いを制し、見事優勝を飾りました。

競走生活の後と種牡馬として

ダービー制覇後、ロイヤルアスコットのセントジェームズパレスステークスにも出走しましたが、これはグランドパレードにとって唯一の敗戦となりました。その後、競走馬を引退し、種牡馬となりました。

多くの勝利馬を輩出し、特に初年度産駒には2000ギニー優勝馬ディオフォンがいました。その活躍は、競走馬としての能力だけでなく、優れた遺伝子を持つ種牡馬としての素質も証明するものでした。1932年5月、ニューマーケットで生涯を閉じました。

グランドパレードの血統

(血統表は省略)

グランドパレードは、決して恵まれた環境や血統を持つ馬ではありませんでした。しかし、持ち前の能力と、関係者たちの献身的な努力によって、ダービーという栄光の舞台で頂点に立ちました。そのドラマチックな生涯は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けるでしょう。

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