グリオキシソーム

グリオキシソーム（Glyoxysome）は、植物、特に発芽種子の脂肪貯蔵組織や、一部の糸状菌において観察される特殊なオルガネラであり、ペルオキシソームの一種です。ペルオキシソームと同様に、グリオキシソーム内では脂肪酸がβ-酸化酵素によってアセチルCoAへと分解されます。しかし、グリオキシソームは通常のペルオキシソームの機能に加え、グリオキシル酸回路における独自の役割を担っています。

グリオキシル酸回路と糖新生

グリオキシソームは、脂肪酸の分解に関わる酵素群に加えて、糖新生の過程で糖を合成するために必要な中間体を生成する酵素も備えています。これは、発芽時に光合成がまだ活発でない植物にとって非常に重要な機能です。発芽したばかりの植物は、光合成によって自ら糖を生産できるようになるまで、種子に蓄えられた脂肪を分解し、グリオキシソームの働きによって糖を合成することでエネルギーを獲得します。この糖新生のプロセスは、植物の初期成長を支える上で不可欠です。

グリオキシル酸回路は、クエン酸回路（TCA回路）と密接に関連していますが、いくつかの重要な酵素反応が異なります。グリオキシソーム内でのグリオキシル酸回路は、イソクエン酸リアーゼとリンゴ酸シンターゼという2つの特徴的な酵素によって、TCA回路から二酸化炭素を放出する段階を迂回し、結果として炭素を糖新生へと導きます。このバイパス経路によって、脂肪酸から効率的に糖を合成することが可能になります。

その他の機能

グリオキシソームは、植物の根粒における光呼吸や窒素代謝にも関与しています。根粒は、マメ科植物などが根に形成する共生器官であり、空気中の窒素を固定する役割を担っています。グリオキシソームは、根粒内での代謝プロセスを円滑に進める上で重要な役割を果たしていると考えられています。

参考文献

Sengbusch, Peter V. (2003) Botany online: Peroxysomes and Glyoxysomes
UniProt Knowledgebase keyword: Glyoxysome

外部リンク

* MeSH A11.284.195.190.500.585.250

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