グリゴリー・クリーク

グリゴリー・イワノヴィチ・クリークの生涯

グリゴリー・イワノヴィチ・クリーク（1890年 - 1950年）は、ソビエト連邦の軍人であり、第二次世界大戦中にはソ連邦元帥に昇進した。しかし、彼の軍事的なキャリアは、無能との評価に悩まされることになり、最終的には降格されてしまった。彼の生涯は、軍の中での権力の変遷、粛清、そして悲劇的な結末でもあった。

出身と初期の経歴

クリークは、ロシア帝国のウクライナにあるポルタヴァ郡の小さな村ドゥブニコヴォで農家の子として生まれました。第一次世界大戦に従軍した後、1917年にボリシェヴィキに加入し、翌年には赤軍に参加。ロシア内戦では砲兵隊長として戦ったものの、その後のキャリアにおいて彼は様々な試練に直面します。

1926年には赤軍の砲兵総監に就任し、約15年間その地位にありました。この期間中、戦争と政治の様々な局面に関与し、特に1936年のスペイン内戦では、スペイン共和国の軍事顧問として活動しました。その際、クリークは「クーペル将軍」と名乗り、戦場においても自身の存在感を示そうとしました。

スターリン政権下での活動

クリークは、当時のソ連の最高権力者であるスターリンに忠実でありました。この忠誠心が彼に有利に働く一方で、彼は赤軍の大改革を提案したミハイル・トハチェフスキーと対立しました。1937年の赤軍大粛清では、彼は奇跡的に責任を問われること無く免れ、その後国防担当人民副委員に就任しました。

しかし、彼の反発的な姿勢は、赤軍の現代化や機械化の試みを妨げる要因となりました。彼は地雷を「弱虫の武器」と呼び、自動兵器に対しても不適切な評価を下したとされています。特にサブマシンガンを「警官の武器」と disparageし、赤軍の装備に対する伝統的な見解を持ち続けました。彼自身の轡は、彼の専門分野である砲兵にさえ及び、「美しい」大砲にこだわるあまり、砲兵の進歩に深刻な支障をもたらしました。

戦争とその後の運命

1941年、ナチス・ドイツがソ連に侵攻した際、クリークはレニングラード戦線で第54軍を指揮しましたが、その指揮は失敗に終わり、ドイツ軍によって都市が包囲されました。この結果、1942年3月に軍法会議にかけられ、降格されてしまいます。通常であれば命を失ってもおかしくない状況でしたが、スターリンとの関係が彼を救ったとされています。

その後、1943年には第4親衛軍司令官に就任し、1944年から1945年の間はヴォルガ軍管区で動員局副部長として活動します。しかし、大戦末期になると再び降格され、1946年に軍を退役。その後、逮捕され、1950年には死刑判決を受けます。彼は59歳で処刑されることとなりました。

まさにクリークの生涯は、その時代の激動と軍人としての悲劇を象徴するものです。1956年に名誉回復された際には、再びソ連邦元帥の称号が与えられましたが、彼の名声は決して輝かしいものではありませんでした。

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