グリゴリー・ゲルシューニ

グリゴリー・アンドレーエヴィチ・ゲルシューニ（1870年9月29日 - 1908年5月29日）は、ロシア帝政末期の革命家であり、社会革命党（エスエル）の創設者の1人として知られています。

生い立ちと初期の経歴

1870年、当時ロシア帝国領であったリトアニアのカウナスで、ユダヤ人の家庭に生まれました。3歳の時に家族でシャウレイへ移住します。15歳になると、薬剤師である叔父の下で見習いとして働き始め、同時にロシア各地を旅しました。1895年にはキエフ大学で薬学を学び始めますが、この頃から学生運動や社会主義運動に関与し、短期間逮捕された経験も持ちます。1897年に大学を卒業後、ミンスクで化学・細菌学研究所を開設しました。しかし、1898年には両親がポグロムによって命を落とすという悲劇に見舞われています。

革命家としての活動

ゲルシューニは社会主義者として活動を始め、ロシア政治解放労働者党の創設メンバーとなりました。しかし、この結党が原因で1900年にオフラナ（ロシア帝国の秘密警察）に逮捕されます。1901年に釈放された後、エカテリーナ・ブレシコ＝ブレシコフスカヤ、ヴィクトル・チェルノフ、アレクサンドル・ケレンスキー、エヴノ・アゼフらと共に社会革命党を結成しました。ゲルシューニは社会革命党の基礎を築くとともに、テロ活動を支持し、1902年には社会革命党戦闘団を創設、同年4月にはドミトリー・シピャーギン内務大臣の暗殺、1903年5月にはN・M・ボグダノヴィチウファ県知事の暗殺計画を立案し、実行しました。1902年7月には、当時ハリコフ県知事であったイワン・オボレンスキー公の暗殺も計画しましたが、これは未遂に終わっています。

重要な点として、ゲルシューニは同志であったアゼフがオフラナのスパイであることを知らずに活動を続けていました。1903年5月、アゼフの密告によりキエフで逮捕され、1904年2月にはペテルスブルク軍事法廷で死刑判決を受けましたが、皇帝ニコライ2世の恩赦により終身刑に減刑されました。その後、「追放囚人政治犯」としてシュリッセリブルク要塞で服役しましたが、1906年には東シベリアのアカトゥイ・カトルガ刑務所に移送されました。しかし、彼はこの刑務所からザワークラウトの樽に隠れて脱獄するという大胆な行動を起こし、脱獄後は中国に亡命しました。

海外での活動と最期

中国から日本、アメリカ合衆国へと渡り、アメリカではサンフランシスコからニューヨークまで旅をし、社会革命党支持者の大会で演説を行いました。また、シカゴでは社会事業家・平和運動家のジェーン・アダムズと会談しています。1907年2月にはヨーロッパに戻り、第二回社会革命党臨時党大会に参加。この党大会では、ツァーリズムを攻撃し、テロ路線を支持すると共に、当局のスパイ容疑からアゼフを弁護しました。1908年、ゲルシューニは結核によりスイスで生涯を閉じました。彼の短い生涯は、革命運動に捧げられ、その活動はロシアの歴史に深く刻まれています。

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