グリフォルス

グリフォルス社：血液製剤と診断システムの世界的リーダー

グリフォルス（Grifols S.A.）は、スペイン・バルセロナに本社を置く、グローバルに展開する医療機器メーカーです。1909年、血液学者であるグリフォルス・イ・ロイグによって設立された臨床分析ラボにそのルーツを持ちます。現在では、血液製剤を中核とした医薬品や、診断システムなどの医療機器を世界30カ国以上に提供する多国籍企業へと成長を遂げています。マドリード証券取引所とNASDAQにも上場しており、その高い企業価値が示されています。

揺るぎない歴史と技術革新

グリフォルス社の歴史は、創業者による臨床分析ラボの設立から始まりました。第一次世界大戦後の輸血技術への注目を受け、1928年には輸血小管の特許を取得。その後、1940年には息子と共にグリフォルス・ラボラトリーを設立し、臨床分析と凍結乾燥血漿事業に特化しました。第二次世界大戦中には、スペインで最初の血漿バンクを設立するなど、医療史に名を刻む功績を残しました。

1952年には、同社の血漿分画製剤がイギリスの学界で発表され、国際的な評価を獲得。1958年にはバルセロナに血漿分画製剤プラントを設立し、製造体制の強化を図りました。1972年には新工場を設立し、血漿分画製剤に加えて、非経口液剤や医療機器の製造も開始しました。

グローバル企業への進化と積極的なM&A戦略

2000年代に入ると、グリフォルス社は積極的な買収戦略によって、アメリカ合衆国市場を重視する企業へと変貌を遂げました。2001年にはロサンゼルスのバイオ企業SeraCareを買収、2003年には田辺三菱製薬の北米子会社を買収するなど、着実に市場シェアを拡大しました。2006年にはマドリード証券取引所に株式を上場し、グローバル企業としての地位を確立しました。

2010年にはバイオ医薬品メーカーのタレクリスを買収し、子会社化。翌年には、その子会社をグリフォルス・プラズマとしてリブランドし、NASDAQにも上場しました。さらに、2013年にはノバルティスから、2017年にはホロジックから、それぞれ輸血検査部門を買収することで、事業の多角化を進めています。2019年には中国の上海莱士血液製品との戦略的提携を発表し、中国市場への進出を加速させています。

現在そして未来

現在、グリフォルス社の売上の約3分の2は北米市場から、ヨーロッパ市場からの売上は2割未満となっています。このことは、同社のグローバル戦略におけるアメリカ市場の重要性を示しています。一方、中国市場への進出も強化しており、今後のさらなる成長が期待されています。

日本における事業展開

日本法人であるグリフォルス株式会社は2014年に設立され、東京にオフィスを構えています。日本市場では、検査機器の提供や関連サービスを中心とした事業展開を行っています。

グリフォルス社は、その長い歴史と革新的な技術、そして積極的な事業展開を通じて、世界中の医療に貢献し続けています。これからも、血液製剤や診断システムにおけるリーディングカンパニーとして、医療の発展に貢献していくことでしょう。

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