グリーク・サルーキ

グリーク・サルーキ

グリーク・サルーキ（英：Greek Saluki）は、ギリシャを原産国とする古くから知られるサイトハウンド犬種です。その別名としては、グリーク・グレイハウンド（英：Greek Greyhound）やヘリニコス・イフニラティス（英：Hellinikos Ichnilatis）などがあります。なお、稀にアルバニアン・グレイハウンドという名称が用いられることがありますが、これはアルバニア原産の別のサルキー系統の犬種を指すため、本種に対してこの呼称を使うのは誤りです。

歴史

グリーク・サルーキは、非常に古い歴史を持つ犬種の一つに数えられます。紀元前7000年頃には既にその存在が確認されており、同じく超古代犬種であるサルーキやネイディといった犬種との血縁関係が示唆されています。これら3犬種の間に血統的な繋がりがあることは確かですが、具体的にどの犬種が最も古い起源を持つのかといった詳細は、現在もはっきりと解明されていません。

古来より、グリーク・サルーキは狩猟犬として活躍してきました。その主な獲物は、大きなシカから小さなウサギまで、あらゆる種類の哺乳類に及びました。狩りは通常、小さなパックまたはつがいで行われました。彼らは自慢の鋭い視力と驚異的な脚力を最大限に活かし、獲物を発見し、追い詰めて仕留める能力に長けていました。特に山岳地帯での狩猟においては、単なる身体能力だけでなく、高い知性を駆使し、仲間と緊密な連携を取りながら獲物を追い詰める狩りを行いました。

この犬種は、歴史的に見ても決して頭数の多い犬ではありませんでした。そして、二度の世界大戦という大きな困難を経て、その数はさらに激減し、絶滅寸前という極めて危機的な状況に追い込まれてしまいました。現在もその頭数は非常に少なく、依然として絶滅してしまう危険性が極めて高い状態が続いています。グリーク・サルーキのほぼ全ては、現在もその原産国であるギリシャ国内でのみ飼育されており、国外にその存在が知られることはほとんどありません。国際畜犬連盟（FCI）にも公認されていない、希少な犬種です。

特徴

外見は同じ古代犬種であるサルーキによく似ていますが、グリーク・サルーキの方が平均的に体高が高く、ややがっしりとした体格をしています。筋肉質で引き締まったボディを持ち、サイトハウンド特有のバランスの取れた美しい体型をしています。マズル、首、脚、胴、尾といった体の各部が長く、流麗なシルエットを形成しています。頭部は比較的小さく、凛とした知的な顔つきです。マズルは先端に向かって細くなっています。耳は垂れ耳で、尾はサーベル形に垂れています。耳と尾には特徴的な飾り毛が見られます。被毛はなめらかなスムースコートで、ブラック・アンド・ホワイトなど様々な毛色が存在します。体高はおよそ70cm前後、体重は約30kg前後の大型犬です。

性格面では、家族に対しては非常に深く懐き、愛情深く接しますが、デリケートで繊細な一面も持っています。一方、家族以外の見知らぬ人の前では、あまり感情を表に出すことが少なく、ややクールな印象を与えます。しつけの飲み込みは平均的ですが、状況を的確に判断する能力は非常に優れています。高い身体能力を持ち、走る速さは特筆すべきものがあります。そのため、多くの運動量を必要とする活発な犬種です。

参考文献

• - 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年

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