グレアム・コクソン

グレアム・コクソン：ブリットポップからソロ、そしてアートへ至る多才なミュージシャン

グレアム・レズリー・コクソン（1969年3月12日 - ）は、イギリスを代表するロックバンド、ブラーのギタリストとして世界的に知られるミュージシャンです。コルチェスター出身で、幼少期は西ドイツや北アイルランドで過ごす国際的な環境で育ちました。11歳でデーモン・アルバーンと出会い、音楽を通じて深い友情を育みます。独学でギターを始め、アートスクールを経て、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジのファインアート科に進学。そこで、後のブラーのメンバーとなるデーモン、アレックス・ジェームス、デイヴ・ロウントゥリーと出会い、バンド活動を開始しました。

1990年、ブラーとしてメジャーデビューを果たし、瞬く間に人気を博します。ブラーはブリットポップの中心的バンドとなり、グレアムは独自のローファイなギタースタイルでバンドサウンドに独特の個性を与えました。しかし、バンドの成功に伴う過酷な生活や、音楽性の方向性についてデーモンとの意見の相違などから、葛藤を抱えることになります。アルコール依存症に苦しむ時期もありましたが、音楽への情熱を共有することでデーモンとの関係を修復。1997年のブラーの楽曲「ユー・アー・ソー・グレイト」では、作詞・作曲・ボーカルを担当するなど、音楽家としての才能をさらに開花させました。

1998年、グレアムはソロ活動を本格化させます。アコースティックサウンドを特徴とした『スカイ・イズ・トゥ・ハイ』でデビューし、その後も精力的にアルバムを発表。ノイジーでパンキッシュな作品から、より洗練されたサウンドの作品まで、幅広い音楽性を示しました。2003年には、音楽性に関する意見の相違からブラーを脱退。ソロ活動に専念し、2004年のアルバム『ハピネス・イン・マガジンズ』は全英19位を記録するなど大きな成功を収め、NMEアワーズで最優秀ソロ・アクト賞を受賞しました。フジロックフェスティバルへの出演や日本公演も果たし、ソロアーティストとしても確固たる地位を築きました。

2008年、デーモンと和解し、ブラーに復帰。再結成ライブは大きな話題となりました。ソロ活動でも、コンセプトアルバム『ザ・スピニング・トップ』やエレクトロニックサウンドを取り入れた『A+E』など、新たな挑戦を続けました。2015年のブラーのアルバム『ザ・マジック・ウィップ』では制作に大きく貢献し、バンドにおける彼の存在感は増すばかりです。

グレアムの音楽性は、ソニック・ユース、ダイナソーJr.、ペイヴメントなどの影響を強く受けています。アメリカのオルタナティブ／インディーロックシーンへの造詣も深く、ブラーの音楽性を「脱ブリットポップ」路線へと導いた中心人物とも評されています。そのギタープレイは、ポール・ウェラー、ジョニー・グリーンウッド（レディオヘッド）、ノエル・ギャラガー（オアシス）、フィル・マンザネラ（ロキシー・ミュージック）など、多くの著名なミュージシャンから絶賛されています。

グレアムはギタリストとしてだけでなく、マルチプレイヤーとしても才能を発揮しています。ブラーの楽曲ではドラムやサックスを担当し、初期のソロアルバムでは全楽器を自ら演奏しました。ファインアートを専攻していた経験を生かし、絵画もライフワークとしており、ブラーやソロ作品のジャケットデザインを多く手掛けています。個展を開催するなど、アーティストとしての活動も精力的に行っています。

シャイな性格で知られ、ステージ上での独特の行動も話題を呼びます。しかし、その控えめな雰囲気とは裏腹に、音楽に対する情熱と、独特のユーモアセンスは、彼の魅力をより一層引き立てています。

ソロ活動においては、ポール・ウェラー、ピート・ドハーティ、ビル・ライダー・ジョーンズ、パロマ・フェイスなど、多くのミュージシャンとコラボレーション。フェンダー社からは「グレアム・コクソン・テレキャスター」が販売されるなど、ミュージシャンとしての影響力は絶大です。グレアム・コクソンは、ギタープレイ、ソングライティング、アートワーク、そしてその個性的なキャラクターを合わせ持つ、稀有な才能の持ち主と言えるでしょう。

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