フィル・マンザネラ

フィル・マンザネラは、ロキシー・ミュージックのギタリストとして世界的に知られる、イギリスのロックミュージシャンです。1951年1月31日にロンドンで生まれた彼は、その音楽キャリアを通じて、ロック、ラテン、ジャズなど、多様なジャンルを融合させた独自のサウンドを追求してきました。

生い立ちと音楽的ルーツ

マンザネラの音楽的背景は、彼の国際的な生い立ちに深く根ざしています。コロンビア人の母とイギリス人の父を持つ彼は、幼少期をキューバやベネズエラで過ごし、これらの国々の音楽や文化に触れました。特にキューバ革命の時代に体験したキューバ音楽は、彼の音楽性に大きな影響を与えました。8歳でエレクトリックギターを始めた彼は、10代の頃にはロックンロールとラテンアメリカのリズムを融合させることに情熱を注ぎました。

ロキシー・ミュージックでの活躍

1972年、マンザネラはロキシー・ミュージックにギタリストとして加入し、バンドのサウンドを大きく変革しました。ブライアン・イーノの脱退後、彼のギター演奏は、バンドの音楽に不可欠な要素となりました。彼はブライアン・フェリーとの共作も行い、「アマゾナ」などの楽曲で作曲家としての才能も発揮しました。

ソロ活動と多様なプロジェクト

ロキシー・ミュージックでの活動と並行して、マンザネラはソロアーティストとしても精力的に活動しています。1975年に発表した初のソロ・アルバム『ダイアモンド・ヘッド』には、イーノやアンディ・マッケイなど、ロキシー・ミュージックの関係者が多数参加しました。また、彼はクワイエット・サンのオリジナル・メンバーと再会し、未発表曲を録音したアルバム『メインストリーム』を発表しました。

1976年にロキシー・ミュージックが解散すると、マンザネラはイーノらと801を結成し、ライブアルバム『801 ライヴ』を発表しました。その後も、彼は『K-スコープ』、『プリミティヴ・ギターズ』、『サザンクロス』など、数多くのソロ・アルバムを発表し、ジョン・ウェットンとの共作アルバムも制作しました。1990年代には、スペインの「Guitar Legends」で音楽監督を務め、ボブ・ディランやキース・リチャーズらと共演するなど、国際的な舞台でも活躍しました。

ロキシー・ミュージックの再結成と近年

2001年、マンザネラはブライアン・フェリー、アンディ・マッケイと共にロキシー・ミュージックを再結成し、ワールド・ツアーを行いました。2005年には、イーノも参加したアルバム『50ミニッツ・レイター』を発表しました。近年では、デヴィッド・ギルモアのソロ・ライブのツアー・メンバーとしても活動し、数多くのライブに参加しています。2019年には、ロキシー・ミュージックがロックの殿堂入りを果たし、マンザネラも受賞者の一人として選ばれました。

フィル・マンザネラの音楽的才能は、ロキシー・ミュージックのサウンドを特徴づけるだけでなく、ソロアーティストとしても多様な音楽性を追求し、数多くのアーティストとのコラボレーションを通じて、ロック音楽の新たな可能性を切り開いてきました。

もう一度検索