グレイグ・レイドロー

1985年10月12日、スコットランド南部のジェドバラに生を受けたグレイグ・レイドローは、現在、日本のジャパンラグビーリーグワンに所属する浦安D-Rocksのヘッドコーチとしてチームを率いています。元ラグビーユニオン選手として国際舞台でも輝かしい経歴を持ち、特にスコットランド代表ではキャップ数76を記録しました。

彼のラグビー人生は、父親がコーチを務めていた影響もあり、わずか6歳で始まりました。プレースタイルとしては、主にスクラムハーフ（SH）を務めることが多かったものの、フライハーフ（スタンドオフ/SO）としても十分にプレーできる能力を持っており、本人も自身のポジションを尋ねられた際には「9番か10番」と答えると語っています。その実力は国際的に認められ、2015年のラグビーワールドカップでは、大会のベスト15プレイヤーにスクラムハーフとして選出される栄誉に浴しました。

クラブキャリアでは、フランスの強豪リーグであるTOP 14に挑戦。2017年から2020年までクレルモン・オーヴェルニュに所属し、異国の地でもその才能を発揮しました。スコットランド代表としては、2019年12月に国際舞台から引退するまで、歴史に名を刻む活躍を見せました。76キャップのうち、実に39試合で主将という大役を務め、これは同国代表において歴代最多記録となっています。また、正確無比なキックを武器に、代表通算714得点を挙げ、これはスコットランド代表の歴代得点ランキングで2位という驚異的な記録です。

2020年秋、レイドローは日本での新たな挑戦を選び、ジャパンラグビートップリーグの最終シーズンに向けてNTTコミュニケーションズ シャイニングアークスに加入しました。2021年2月20日のHonda HEAT戦で先発出場を果たし、日本の公式戦に初登場。そのシーズンは6試合に出場し、スクラムハーフとしてのゲームメイクに加え、プレースキックも担当。58得点を挙げるなど、チームに貢献しました。

NTTグループ内のチーム再編に伴い、2022-23シーズンからは新リーグ「ジャパンラグビーリーグワン」に参入した浦安D-Rocksに所属。このシーズン、彼はリーグ戦10試合中8試合に出場し、うち2試合で先発を務めました。ベテランとしての経験とリーダーシップを発揮し、浦安D-Rocksがリーグ戦を全勝で終えるという快挙に大きく貢献しました。

選手として全ての力を出し尽くしたレイドローは、2023年4月26日に自身のInstagramで現役引退を表明。同年5月7日に行われた、浦安D-RocksのDIVISION 1昇格をかけた入替戦が、彼のプロ選手としての最終試合となりました。

引退後、彼はすぐに指導者としての道を歩み始めます。2023-24シーズンは浦安D-Rocksのアシスタントコーチとしてチームを支え、その手腕が評価され、2024-25シーズンからはヘッドコーチに昇格。新たな立場でチームの指揮を執ることになりました。

レイドロー家は、ラグビーに深い絆を持つ家族です。2013年にレイチェル・ランシマンと結婚し、2023年現在、3人の子供に恵まれています。特に3番目の子供は日本で誕生しており、そのミドルネーム「レン」は、当時浦安D-Rocksのチームメイトだった飯沼蓮選手の名前から取られたというエピソードは、日本での生活に溶け込んだ彼の一面を物語っています。父親のデビッドも現役時代はスクラムハーフとしてプレーしていました。さらに、叔父のロイ・レイドローは1980年代に活躍した名選手で、スクラムハーフとしてスコットランド代表で47キャップを獲得し主将も務めた他、1987年のワールドカップに出場し、ブリティッシュ＆アイリッシュ・ライオンズの遠征メンバーに4回選出されるなど、輝かしい実績を残しています。従兄弟のクリス・クラーク・スコットもラグビー指導者として活躍しており、ニュージーランドの7人制ラグビー代表チーム「オールブラックス・セブンズ」のヘッドコーチを務めています。このように、レイドロー氏はラグビーが深く根付いた家庭環境の中で育ち、自身もまたその歴史の一端を担っています。選手としても指導者としても、今後の活躍が期待される人物です。

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