グロート・レーバー

グロート・レーバー：電波天文学の先駆者

グロート・レーバー（Grote Reber, 1911-2002）は、アメリカ合衆国の著名な天文学者であり、電波天文学の分野で多大な貢献をした人物です。彼は自ら設計した電波望遠鏡を用いて、数多くの電波源を発見しました。

生い立ちと教育

レーバーは、イリノイ州ウィートンに生まれ、アーマー工科大学で無線工学を学びました。無線通信への興味からアマチュア無線に夢中になり、1933年から1947年までシカゴのラジオ製造会社で働いていました。特に、宇宙からの電波を発見したカール・ジャンスキーの業績に影響を受け、彼も同様の研究を行いたいと考えていました。しかし、大恐慌の影響でジャンスキーが働いていたベル研究所には入社できませんでした。

電波望遠鏡の製作

彼の研究の転機は、自宅の裏庭で自作した電波望遠鏡でした。この望遠鏡は直径9mの放物面反射鏡を使用し、8mの高さの受信機と連携する形でデザインされています。傾けて方向を変えられる機能は、本格的な回転機能を持たないものの、ジャンスキーが使用していた受信機よりも優れた性能を持っていました。1937年にはこの望遠鏡が完成し、翌年には160MHzの電波を捕えることに成功。これにより、ジャンスキーの発見を再確認し、全天の電波源分布を調査する本格的な研究を進めました。この成果は1941年までに完了し、さらに1943年まで充実が図られました。この研究の発表は、第二次世界大戦後の電波天文学の発展を促進する重要な一歩となりました。

観測活動

1947年には、彼の技術と装置はヴァージニア大学に移され、観測主任としての役割を果たしました。その後、1951年からはハワイにて観測活動を続け、1954年には超長波の観測に適したタスマニアに移住しました。タスマニアでは、彼の電波望遠鏡も展開され、研究が進められました。1957年には、ウエストバージニア州の国立電波天文台において、レーバーの電波望遠鏡とジャンスキーの望遠鏡が歴史的記念碑として復元され、多くの人々にその功績が知られることとなりました。

最晩年と遺産

2002年、レーバーはタスマニアにて90年の生涯を終えました。彼の遺灰は、タスマニアのボスウェル墓地やアレシボ天文台を含む世界中の17の電波観測所に散骨されています。これにより、彼の影響力は今なお続いています。

受賞歴

彼の偉業は多くの賞によって認められています。1962年にはブルース・メダルを受賞し、米国天文学会からのヘンリー・ノリス・ラッセル講師職にも就任しました。1963年にはエリオット・クレッソン・メダル、1983年にはジャクソン＝グウィルト・メダルを受賞。2013年には全米発明家殿堂に選出されました。

グロート・レーバーの功績は、電波天文学の基盤を築く重要なものであり、彼の業績は今なお多くの研究者や愛好者に影響を与えています。

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