グロー・オールド・ウィズ・ミー

グロー・オールド・ウィズ・ミー (Grow Old With Me)

ジョン・レノンが1980年に残した楽曲「グロー・オールド・ウィズ・ミー」。この曲は、彼の死後に発表されたアルバム『ミルク・アンド・ハニー』に収録され、今日まで多くの人々に愛され続けています。今回は、この曲の背景、未完成のビートルズ・バージョン、そしてリンゴ・スターによるカバーを中心に、その魅力を掘り下げていきます。

生前最後に書かれた楽曲の一つ

「グロー・オールド・ウィズ・ミー」は、レノンが1980年に暗殺される前の夏、バミューダ諸島で書かれました。この地でデモ音源が録音され、その歌詞には、19世紀のイギリスの詩人ロバート・ブラウニングの詩「ラビ・ベン・エズラ」の一節が引用されています。当初はアルバム『ダブル・ファンタジー』に収録予定でしたが、間に合わず、レノンの死後、ジャック・ダグラスのプロデュースによって『ミルク・アンド・ハニー』に収録されました。初期の音源は、ドラムマシンのリズムに乗せたピアノの弾き語りデモにエコーが施されたものでしたが、2001年のリマスター盤ではエフェクトが除去され、音の欠落も修正されました。

未完成のビートルズ・バージョン

1994年、「ザ・[[ビートルズ・アンソロジー]]」プロジェクトが始動し、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの3人は、レノンが遺したデモテープを基に新曲を制作することを計画しました。オノ・ヨーコから提供されたデモテープには、「グロー・オールド・ウィズ・ミー」の他に、「フリー・アズ・ア・バード」「リアル・ラヴ」「ナウ・アンド・ゼン」が含まれていました。

3人はジェフ・リンをプロデューサーに迎え、マッカートニーの自宅スタジオでレコーディングを開始。「フリー・アズ・ア・バード」と「リアル・ラヴ」はそれぞれ『ザ・[[ビートルズ・アンソロジー]]1』と『ザ・[[ビートルズ・アンソロジー]]2』に収録されました。しかし、「グロー・オールド・ウィズ・ミー」は、デモ音源の状態が悪く、多くの作業を要するため、未完成のままとなりました。その後、「ナウ・アンド・ゼン」は2023年に「最後の新曲」としてリリースされました。

リンゴ・スターによるカバー

元ビートルズのメンバーであるリンゴ・スターは、2019年のアルバム『ホワッツ・マイ・ネーム』で「グロー・オールド・ウィズ・ミー」をカバーしました。きっかけは、ジャック・ダグラスとの会話の中で、レノンのデモ音源が収録された『ザ・バミューダ・テープス』を勧められたことでした。スターは、これらの音源を聴き、「ジョンのことを思いながら、うまく歌うことが出来た」と語っています。

このカバーには、ポール・マッカートニーがベースとコーラスで参加し、ダグラスがストリングス編曲を担当。ストリングスには、ジョージ・ハリスンの楽曲「ヒア・カムズ・ザ・サン」のフレーズが引用されています。スターは、「この曲には、ある意味で僕ら4人が関わっている」とコメントしており、ビートルズの絆を感じさせる仕上がりとなっています。

その他のアーティストによるカバー

「グロー・オールド・ウィズ・ミー」は、リンゴ・スター以外にも、メアリー・チャピン・カーペンター、マイケル・ウィナンス、ザ・ポスタル・サーヴィスなど、多くのアーティストによってカバーされています。それぞれのアーティストが独自の解釈でこの曲を表現し、その魅力をさらに広げています。

ジョン・レノンが遺した「グロー・オールド・ウィズ・ミー」は、彼の愛と平和への願いが込められた、時代を超えて愛される名曲です。

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